Advanced K.G.

We Are KWANSEI

授業内のフィールドスタディにおいてSDGsを学んだ生徒たちが、授業の枠を超えて活動を始めたことにより誕生したクラブ「SDGs for Children」。主に小学生を対象にSDGsの重要性を伝えるため、様々な場所でワークショップを重ねて次世代に向けた啓蒙活動に取り組んでいる。

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学びのバトンを次世代につなぎ、
SDGsを実践するアクションの輪を広げる。

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木島 柊子
Kijima Toko

関西学院千里国際
高等部 3年生

SDGs for Children 副部長。高等部1年次から活動に参加。地球温暖化など環境問題に関心があり、絶滅危惧種を紹介する紙芝居を個人で制作中。

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松岡 莉音
Matsuoka Rio

関西学院千里国際
高等部 1年生

中等部2年次から活動に参加。特に関心のあるSDGは「つくる責任 つかう責任」。大量生産・大量消費に疑問を抱き、日常からものを大切に扱うことを心がけている。

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藤本 鈴
Fujimoto Rin

関西学院千里国際
中等部 2年生

中等部2年次から活動に参加。部内では最年少メンバーながらも女性の教育やLGBTQ、プラスチック問題など様々な課題に興味を寄せる。

SDGsを楽しく学び、身近に感じてもらえるワークショップを創り上げる。

まずSDGs for Childrenの活動について教えてください。

木島「SDGs for Children」は主に小学生に向けてSDGsについて学ぶワークショップを行っています。毎回1つの社会課題を取り上げ、その現状や要因について私たちからレクチャーします。その後、児童たちがグループごとに分かれて課題に対する解決策についてディスカッションし、皆の前で発表するというケーススタディ型を取り入れています。
ただ一方的に「SDGsとは何か」を教えるだけでなく、SDGsの目標を分かりやすく嚙み砕いた上で、世界で起きている社会課題の具体例を紹介します。そして、それらに対して自分たちができることはなんだろうと問いかけます。世界に山積する社会課題を知ることは、児童たちがSDGsを学ぶ目的を理解する一歩につながります。

松岡取り扱うテーマは様々です。地球温暖化やLGBTQの課題、野良犬・野良猫を減らすにはどうすればいいかなど多岐にわたります。小学生の視点も加味しながら部員それぞれが興味のある社会課題を持ち寄り、個人で調べた情報を部内で共有しながら取り上げるテーマを決めていきます。小学校の他にも地域の交流センターや関西学院大学のホームカミングデー、本校の入試広報イベントでワークショップを行うことも。基本的に週1回、放課後に活動しています。

とても有意義な活動ですね。皆さんがこの活動に参加されたきっかけを教えてください。

藤本子どもと接するのが好きだったので、学校の活動で何かできないかと考えていたところ「SDGs for Children」の活動に出会いました。頼れるかっこいい先輩方がいる、明るい部の雰囲気にも惹かれました。私は女性の教育に対して興味があり、アフガニスタンの女性を支援する「EJAAD JAPAN CLUB」も兼部しています。

木島もともと社会科研究部というクラブに所属しており、グローバルイシューについてディスカッションを行ったり、ボランティアをしたりといった活動をしていました。しかし、そのクラブが活動休止になったため、以前から関心のあった「SDGs for Children」に参加してみることに。子どもたちにSDGsを知る大切さを教え、早期からSDGs達成に向けて行動できるように促すという実践力の高い活動にとても魅力を感じました。コミュニケーションに苦手意識があったので、それを克服したいという気持ちもありました。

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松岡中等部2年次に「SDGs for Children」のポスターを見たことがきっかけです。中等部1年次からSDGsについて学んでいましたが、SDGsに向けた具体的なアクションをインターネットで調べても出てくるのは企業や団体の取り組みばかり。そんな中で、先輩方が小学生にSDGsを教えているということを知り、自分にもできることがありそうだと可能性を感じて参加を決めました。

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小学生にSDGsを教える中で難しく感じる点はありますか。

松岡小学生と言っても学年によって発達段階が全く異るため、授業の響き方も違います。過去に犬や猫の殺処分をテーマにワークショップを行った時のことです。殺処分の現状に関するレクチャーの後、4年生は「そんなことが起こってるんだ。ショック…」という感情的な受け止め方であったのに対し、6年生は「どうすれば殺処分が減るんだろう」という建設的な発想でスムーズに議論へ進むことができました。学年ごとの理解力に合わせて授業を組み立てたり、スライドを作成したりするのが難しく、今後の課題として取り組みたいと考えています。

木島楽しく学んで興味を持ってもらうことが大切なので、ミニゲームやクイズ形式を取り入れて児童を巻き込みながら授業を進めるようにしています。地球温暖化を取り上げた回では、その影響で発生した山火事で行き場を失ったコアラに着目。山火事が起こる原因や焼死してしまったコアラの数などをクイズ形式でレクチャーした後に「コアラを守るのがあなたたち地球防衛隊のミッションだ!」と盛り上げてディスカッションへつなぎました。「ミッション」という言葉はゲーム感覚もあり小学生たちの心を掴むようです。

藤本授業の準備は毎回大変ですが、小学生にとって充実した時間になるように部員全員で協力して進めています。ワークショップで訪問する小学校の先生と事前にオンラインで打合せを行い不明点を1つずつクリアにしたり、通常の活動時間外に部員同士で連絡を取り合って内容を詰めることもありました。

「明日から自分ができること」を見出す一歩を後押ししたい。

活動のやりがいや、今後挑戦したいことを教えてください。

松岡授業の最後に回収するアンケートで、ある児童が「SDGsは自分には関係がない、自分一人が何かをしても世界は変わらない。そう思っていたけど、ワークショップを体験して考え方が変わった」と書いてくれていて。かつて自分も同じように感じていたので、私たちの授業を受けてSDGsを自分事として捉えてくれたこと、「自分にもできることがある」と感じてくれたことに大きなやりがいを感じました。

藤本授業を組み立てる中でSDGsの学びを深められるのが魅力ですね。小学生の好奇心に応えられるよう、もっと知識を増やしたいという気持ちも自然と強くなります。子どもたちの思考は自由で積極的。教えるだけでなく相手から学ぶこともたくさんある活動だと感じています。 直近で行った小学6年生のワークショップで、終了後に「私も、私より若い世代にSDGsを教えていきたい」と言ってくれた児童がいました。私たちの活動が、その子にとってのインスピレーションになったことに感動と達成感を覚えました。

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木島私もその言葉はとても印象に残っています。SDGsは私たちだけの力では達成できないので、世代を超えて多くの人に知識を広めて自分事にしてもらうことが重要です。
私たちのワークショップのゴールは、社会課題に対する解決策を見つけるだけでなく、児童一人ひとりが「明日から自分ができること」を見出すことです。小さなことでも今すぐに始められることがたくさんある。その気付きがアクションの輪へ広がっていくことに確かな手ごたえを感じながら、これからも意欲的に活動していきたいです。今後は、ワークショップ参加者の対象年齢の幅を広げたり、学外の団体や専門の方からお話を聞いて知識を深め、それらを授業に反映することにも挑戦してみたいです。