西宮市社会福祉協議会×コープこうべ×関学学生寮の三者による、学生支援活動や地域の方々との交流イベントなどを企画運営する応援プロジェクト。コロナ禍による行動規制がある中で、少しずつ着実に活躍の場を広げている。
支援を受けるだけでなく共に活動することで
地域交流の必要性を改めて学ぶ。
真鍋 綾太 Manabe Ryota
関西学院大学
法学部 法律学科 3年生
祐誠高等学校卒業。法律を学びながら、「繋がり隊」の活動に携わることで、これまで興味のなかった福祉への想いが膨らむ。
近藤 沙映 Kondo Sae
関西学院大学
文学部 総合心理科学科 3年生
福知山高等学校卒業。公認心理師をめざしながら、将来は地元・京都に洋風の「集いの場」を作りたいという夢を持つ。
コロナ禍でスタート。地域の善意をつなぐ応援プロジェクト。
まず、学生応援プロジェクト「繋がり隊」の主な活動について教えてください。
真鍋コロナ禍の自粛生活で薄れてしまった学生同士のつながりや、周辺地域の方たちとの交流を目的として活動しており、その代表的なものが「食材提供会」です。西宮市社会福祉協議会さんとコープこうべさんに資材や場所をご提供いただき、昨年10月にスタート。これまで3回開催することができました。その他にもクッキングイベントを開催するなど、幅広い活動をしています。
近藤コープこうべさんでは以前から、SDGsに関連したフードロス対策として「フードドライブ活動」に取り組み、一般の方々から不要な食材などを集めておられました。その食材の中から一部ご提供いただき活用しています。仕分けなどの作業をお手伝いし、子ども食堂で使えるもの、学生に提供するもの、イベントで使えるものなど効果的に分配しています。
おふたりが「繋がり隊」に参加することになった経緯や、参加しようと思った理由を教えてください。
真鍋西宮社協さんとコープこうべさんがコロナ禍で困っている学生を支援するため、関学の学生寮を訪ねてこられたのがきっかけです。三者で話を進める中で、僕たち学生も助けられるだけではなく一緒にサポートできないかと考え、協働することになりました。僕自身、コロナ禍でやりたいこともなく過ごしていたので、何かに興味を持って有意義な大学生活を送りたいと思い、参加することにしました。
近藤私は合気道部に所属し、新型コロナウイルスの流行前は毎日部活に励んでいました。自粛生活で時間を持て余していたところに「繋がり隊」のメンバー募集を知り、“とりあえずやってみよう”と参加したのが始まりです。
活動する中で苦労されたことは何ですか?また、どのようにしてそれを乗り越えられましたか?
近藤発足当初の話し合いはオンラインが中心でした。参加しやすかったこともあってか最初はメンバーも多かったのですが、自粛が緩和され対面での活動を始めようとした時には、それぞれ個人の活動も再開し、参加メンバーが減ってしまいました。
真鍋スタート当時、僕たちは2年生。上級の先輩たちが中心となってみんなを引っ張ってくださっていました。次に僕たちが先導する立場になると、タイミング的に人手不足に陥ってしまって。
近藤寮生に協力してもらい周りに声を掛けて活動への参加を募ると、前回食材を支援してもらう立場だった学生が「ボランティアに入りたい」「手伝いたい」と名乗り出てくれたことがあり、とても助かりました。
真鍋今後活動を続けていくためには、たくさんの学生に「自分も参加したい」と思ってもらえる活動をして広くアピールしていくことが課題だと考えています。
広がるコミュニティ。出会いから学ぶ交流の大切さ。
印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
真鍋昨年秋に開催した「クッキング交流会」です。住民同士で交流を深める西宮市の「つどい場」の方々とコラボレーションして、学生でも簡単にできる料理レシピを教えていただこうというものでした。もともとコロナ禍で生まれた活動で、オンラインでの交流が中心だったこともあり、リアルでのイベントを開催することに少し戸惑いがあったのも事実です。また「つどい場」には高齢の方もいらっしゃるので、感染症対策を踏まえてどのように交流すればいいのか悩みました。そこで参加人数を制限し、オンラインでの参加も可能にしました。高齢の方々にとってオンラインでのやり取りは初めて。最初はトラブルもありましたが、最終的には「つどい場」のみなさんも楽しんでいただけたようで安堵しました。
近藤メニューにもこだわり、ひとりでサッと作れるものをご提案いただきました。災害時に火を使わずできるもの、フライパン1つでできるものなど、手軽ですがそれでいて栄養価の高いメニューを選出しました。学生たちにはとても参考になったと思います。使用する食材はコープこうべさんのフードドライブ食材を使用しました。
これからの大学生活、または「繋がり隊」の活動への展望や将来についてお聞かせください。
真鍋コロナ禍だからこの活動が生まれたと思いますし、西宮社協さんやコープこうべさんともつながることができました。プロジェクトに参加したことで、何かしたい、何かしてあげたいという気持ちが強くなったと感じます。これまでは全く意識をしたことがなかったのですが、自分には福祉に携わる仕事の適性があるかもしれないと思うようにもなりました。
近藤西宮社協さんやコープこうべさん、そして「つどい場」のみなさんなど、自分がこれまで知らなかっただけで、様々な地域コミュニティがあることを知るきっかけとなりました。
なんとなく住んでいた街ですが、学生や子どもたち、お年寄り、障がいを持つ方、介護する方、みんなそれぞれのコミュニティがあって、そのつながりの中で支え合って生活しているのです。そして、今回のコロナ禍において、寮生活にあるつながりのありがたさを実感しました。自分に合ったコミュニティが見つけられていない人たちにも新たなつながりが生まれるよう、私たちの活動が実りあるものになればと思います。
最後に、これから関学で学校生活を送る学生へのメッセージをお願いします。
真鍋きっかけは、ちょっとした場所に転がっているものです。それらを自分の成長の糧とすることがとても大事だと気づくことができました。何かしら続けてみることが大切だと思います。
近藤関学は学生が多く、活動も多種多様。自分の意思で行動すれば、いろんなことができる環境だと思います。4年間1つのことに特化して頑張るのもいいと思いますが、ボランティア活動やサークル、趣味など、自分が気になっていることはとりあえずやってみるのもいいのではないでしょうか。失敗したり、途中でやめたりしても、そこで出会った人たちや得た経験は大切なものになります。ぜひ学生生活を楽しんでください。
第4回の食材提供会は、関西学院同窓会西宮支部が主体となり、「繋がり隊」の協力を得ながら開催。
関西学院後援会も後援団体として支援しました。詳細はこちらをご覧ください。