「創造アイデアロボットコンテスト全国中学生大会」へ9回連続進出するなど、活躍を続ける中学部。昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響で全国大会は開催されなかったものの、大阪市大会において理科部チームが優勝を果たした。
自分たちの手でロボットを生み出す経験が、
決まった正解のない問いに向き合う力になる。
大藤 泰生 Ofuji Yasuo
関西学院中学部
教員
システムエンジニアを経て中学校技術科の教員に。大阪市の公立中学校でロボットコンテストに取り組んできた経験を活かし、関西学院中学部でも授業や部活動を通じてロボット製作を指導。
長島 孝太朗 Nagashima Kotaro
関西学院中学部
3年生
2020年度の「創造アイデアロボットコンテスト大阪市大会」へ出場。2021年度は理科部部長を務め、全国大会出場を目指している。
奥山 瑛太 Okuyama Eita
関西学院中学部
3年生
2020年度の「創造アイデアロボットコンテスト大阪市大会」へ出場。現在は全国大会出場を目指し、新たに自律制御式のロボット製作に取り組んでいる。
よりよいロボットの開発を目指して、仲間と試行錯誤する日々。
まず大藤先生から、理科部の主な活動内容について教えてください。
大藤毎年11月に行われる文化祭で個人研究の成果を発表する場が設けられており、それに向けて部員それぞれが興味のある分野で研究を行っています。化学薬品や身近な物を使った科学実験、亀などの生き物の飼育・観察、ロボット工作やプログラミングなど、扱うテーマは様々です。また理科部では個人研究だけでなく、部員全員で実験をしたり、水族館や科学館でのフィールドワークに出かけたりするなど、グループでの活動も大切にしています。実験のテーマや文化祭での発表の内容は部員同士で話し合って決めるようにしており、自分たちがやりたいことに一丸となって取り組むことができます。
2012年に2年生の技術の授業に取り入れたことをきっかけに始まった、ロボットコンテストへの参加も理科部の活動の1つです。9回連続で全国大会へ進出するなどの好成績を収めています。
長島さんと奥山さんが理科部に入部しようと思ったきっかけを教えてください。
長島ロボット好きの父の影響で昔から機械は好きだったのですが、小学校6年生の時に参加した関西学院中学部の文化祭で、理科部の先輩とロボットを用いて行ったアイスホッケーがとても楽しく、より興味を持つきっかけに。自分もこの部活に入ってロボットを作ってみたいと思いました。
奥山僕も小学校6年生の時に参加した文化祭がきっかけです。理科はもともと好きでしたが、理科部でロボットが作れることを知り、入部を決めました。
おふたりは2020年度のロボットコンテストに出場されましたね。
大会に臨まれる中で苦労したことや、それをどう乗り越えたかを教えてください。
長島ロボットを完成させることに苦労しました。タイヤが回らない、アームが動かないなど、様々な不具合が発生。しかし僕のチームはメンバー全員が「絶対に大会に出場する」という目標を強く持っていたため、全員が諦めることなく一生懸命取り組み、無事に完成させることができました。また僕はロボットの操縦を担当しており、不具合の原因を突き止めたり、どうやったら良くなるかアイデアを出すなど、操縦士としての視点からチームに貢献することができたと思います。
奥山自分で作ったロボットの部品が脆く、曲がったり壊れたりと様々な不具合が起こり、それらを何度も修正しながら改良を重ねていくのがとても大変でした。理科部の先輩方がアドバイスをくれたおかげで改良もスムーズに進み、無事大会へ出場することができました。
大藤ロボットコンテストのように、決まった正解のない問題に試行錯誤しながら粘り強く取り組む力は、多様化する現代社会において欠かせないものです。生徒たちはあらかじめ学校で用意していた物以外に、家から持ってきた材料を使ってロボットを組み立てるなど、固定観念にとらわれずに創意工夫しています。例えば、長島くんはアームに取り付ける滑り止めに紙やすりを使ってみたり、奥山くんは本来工具として使う六角レンチをロボットの部品に組み込んでみたりと、私も驚くようなアイデアを出してくれます。
おふたりはロボットコンテストでの経験を通じて、どのような力が身についたと感じますか。
長島粘り強く努力する力が身についたと思います。例えば、最近部活で難しいパズルに挑戦し、なかなか組み上がらなかった時も、最後まで諦めずに取り組み、2~3時間かけて完成させることができました。中学入学以前の自分なら、わからない問題があるとすぐに諦めてしまっていて、きっとこのパズルもすぐにやめていたと思います。ロボットの改良を通して成功体験を積んだことで、できなくても簡単に諦めず努力する姿勢が身につきました。
奥山僕が身につけたのは想像力です。六角レンチを部品に組み込んだのもこの力のおかげだと思います。ロボットを作る中で、「こうしたらもっと良くなるんじゃないか」といった検証を続けたことで、様々な視点で物事を考えられるようになりました。今挑戦しているプログラミングを利用した自律制御式ロボットの製作も、1つの考えにとらわれず柔軟な発想で取り組んでいきたいです。
現在は長島さんが部長となって、今年度の大会に向け取り組まれていると思います。部長はどのように選ばれましたか?
長島理科部として2年間活動する中で、全体をまとめる人、前に立って話をする人、作業が得意な人というように、それぞれの役割や得意な分野が見えてきました。その上で、部員全体で話し合い、僕が部長を務めることになりました。
奥山長島くんは自分に与えられた作業をきちんとこなした上でみんなをまとめてくれる、とても頼りになる存在です。常に部員の見本となってくれる長島くんに部長を任せて正解だったと思います。
やりたいことに全力で打ち込める環境が、生徒の可能性を伸ばす。
将来の夢や目標を教えてください。
長島機械の開発者になりたいです。特に、人間のように動く人型ロボットは近い将来きっと実現すると思うので、僕自身もその開発に携わることを目標にしています。そしてゆくゆくは、大好きなアニメや映画に出てくるかっこいいロボットや乗り物を実際に作ってみたいです。
奥山まずはロボットコンテスト全国大会出場を目指します。昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響で地区大会までしかなかったので、その時の悔しさを晴らしたいです。そして将来は、電車に携わる仕事につきたいと思っています。昔から乗車すると必ず運転席を見に行くほど好きなので、大人になっても勉強で培った知識を活かして大好きな電車に関わっていきたいです。
最後に先生から、関西学院で学校生活を送る生徒やその保護者の方に向けてメッセージをお願いします。
大藤私が思う関西学院の魅力の1つに一貫教育が挙げられます。例えば、他の学校の子どもたちが受験のための勉強に使う時間を、関西学院の生徒は自分が興味のあることに費やすことができます。実際、長島くんと奥山くんも現在中学3年生ですが、ロボットコンテストに集中して取り組むことができています。また、運動部はもちろん、理科部をはじめとする文化部も活発であり、様々なことに挑戦できる環境が整っているのも魅力の1つですね。こうした環境の中で、ぜひ自分のやりたいことに全力で取り組んでほしいです。