Advanced K.G.

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所属学部の枠を超え、幅広い分野での学びを可能とする関西学院大学独自の制度である複数分野専攻制(MS)。国連・外交プログラムなどの特別プログラムも実施しており、学びの領域は広がっている。

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周囲の支えを原動力に、学びの機会をフル活用する大学生活。

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一言 こころ
Hitokoto Kokoro

関西学院大学職員

関西学院千里国際中等部・高等部出身。関西学院大学文学部・文学研究科修了。修士(心理学)。現在は国際学部事務室で留学・広報・大学院関連業務を担当している。

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草薙 柚季
Kusanagi Yuki

関西学院大学
国際学部 国際学科
2年生

関西学院千里国際中等部・高等部出身。MSの国連外交プログラムを履修している。メンターである村田俊一先生のもと、現在は大学院進学を視野に入れ勉学に励んでいる。

柔軟な発想力を養う、複数の学問領域での学び。

まず一言さんから、複数分野専攻制(MS)の概要について教えてください。

一言他学部や学部以外の教育機関から提供された副専攻プログラムのもと、所属学部の枠を超えた領域を学ぶことによって、幅広い知見と深い専門性を備えた学生を輩出することを目的として設置された関西学院大学独自の制度であり、ダブルチャレンジ制度※の1つです。また特別プログラムとして、国連・外交プログラムも履修可能。さらにこのMSを利用して2つの学部を卒業できる、マルチプル・ディグリー制度(MD)もあります。
※所属学部や主専攻の学び(ホームチャレンジ)に加えてもう1つの学び(アウェイチャレンジ)への挑戦を可能とする、全学生向けの関西学院大学独自の教育制度。アウェイチャレンジは「インターナショナルプログラム」(留学等の国際交流)、「副専攻プログラム」(他学部での体系的な学び)、「ハンズオン・ラーニング・プログラム」(社会での実践型学習)の3つから構成されており、これらを通してグローバル人材に強く求められる「主体性」「タフネス」「多様性への理解」「チャレンジ精神」を高めていく。

草薙さんがMSに参加しようと思ったきっかけを教えてください。

草薙幼稚園の頃に住んでいた上海でブランド店が立ち並ぶ中心街で同年代の子どもが物乞いをしていた光景に衝撃を受け、幼い頃から貧困問題に対する問題意識を強く感じていました。高校時代に参加した模擬国連やWorld Scholar’s Cupにおいて、自分には各国の課題解決に必要な交渉の細かいニュアンスを伝える英語力が不足していることも痛感し、MSへの挑戦を決めました。また現在のメンターである村田俊一先生との出会いも大きなきっかけの1つです。高大連携プログラムで村田先生の合宿に2年連続で参加しました。国連実務経験があるからこそのリアルなお話に衝撃を受けるとともに、先生のもとでさらに深く学びたいと考えるようになりました。

MSで苦労したことや、それをどう乗り越えたか教えてください。

草薙新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン授業へ移行した結果、授業内容を補うために課題が増え、パソコンでの作業も長時間化。学びが捗らないだけでなく、友人との討論の機会も減ってしまい、気が滅入ってしまいました。この問題を解消するために、国際学部の学生や、MS履修生にアンケートを実施。集まった対面授業再開の要望を事務室に伝え、解決に動いてもらえるよう働きかけました。職員や教員の方々が私たち学生の意見に真摯に対応してくださったおかげで、現在(7月時点)は一部対面での授業も実施されています。

一言学生が意見を提示してくれたことは、学校側にとっても非常にありがたかったです。コロナ禍においてオンライン授業への移行が進む中、教員と学生のコミュニケーションを円滑にするために先生方へメールアドレス公開の働きかけを行うなど、様々な対策を講じてきました。このように、私たち職員はできるだけ学生の視点に立った対応をしたいと考えていますが、やはり学生の思いを正確に汲み取るのはなかなか困難です。手探りでの対応の中、学生のリアルな声は教育環境改善のための大きな材料となりました。たった1人の学生からの要望が学院全体にいい影響を与えることもあるので、学生の皆さんには積極的に事務室へ意見を届けてもらいたいです。

MSの履修を通して、どのような力が身についたと感じますか。

草薙物事を1つの側面からではなく多角的にとらえる力が身につきました。例えば、ミンダナオ島の紛争には、汚職や資源の利権、多国籍企業の介入など権力に隠されている様々な要因が絡まり合っていました。ケーススタディの中で、表面的な部分ばかり見るのではなく、その裏側をしっかりと精査したことによって、この事実に気づくことができたと思います。またMSでは国際学部以外の学生とも交流できるため、他学部の学生の視点も刺激になります。SDGsについてディスカッションをした際、教育学部の人が実際の教育現場で性別によって推奨される科目が異なることなど、ジェンダーにまつわる問題点を指摘してくれました。このように、MSだからこそできる広い視野からのアプローチは、新たな気づきにつながります。

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World Scholar’s Cupで世界50か国から集まった大会参加者とのカルチャーフェアにて

一言MSのねらいは、所属学部とは異なる学問領域を学ぶことで、翻って専門的な理解を深めつつ、一方では専門性にとらわれない視点を養うことにあります。様々な問題が複雑化している現代社会において多角的に物事を見る力は非常に大切であり、草薙さんのようなMS履修生がその力を着実に身につけている姿は、職員としてとても嬉しく思います。

どんな状況でも自由な学びを届ける、その強い意志が学生の支えに。

2つの学問領域を学ぶのはかなり大変な道のりだと思います。履修する中で、周りに支えられているという実感はありますか?

草薙はい。家族も友人も、様々なことに問題意識を強く持ち、さらにその解決に主体的に取り組める人たちばかりです。例えば私の母親は疑問に感じることにはとことん向き合うタイプで、物心ついた頃からわからないことは一緒に調べてくれました。また周りの友人は、自分で考えて行動を起こせる人が多く、MSを通じて得られる周りからの刺激は、私の大きな原動力の1つです。また、先生や職員の方々にも助けられています。オンライン授業での戸惑いのほか、私がMSや留学、大学院への進学など多くのことで悩んでいた時も、親身になって話を聞いてくれました。こちらの疑問や不安に対し、様々な選択肢や筋道を示していただける環境にいることは非常に心強いです。

一言私たちもできるだけ学生をサポートできるよう、様々な情報提供を行っています。しかしながら、果たしてそれが本当に学生の役に立っているのか、目に見えづらいことがあります。草薙さんのように職員を頼っていただけると内容に応じた適切な行動ができますし、同じ不安を抱えている他の学生への対応にも繋がります。学生が頼ってくれて初めて私たち職員の力が発揮されることもあるので、わからないことや不安なことがあれば遠慮せず事務室を活用してほしいです。

草薙さんの将来の夢や目標を教えてください。

草薙大学院に進学し、学修分野の専門性を高めたいと考えています。将来は多様性が尊重され、ジェンダー平等が達成できるインクルーシブな政治と教育に取り組みたいと思っていますが、関わり方までは、まだはっきりしていません。またこれまでは海外でのキャリアに魅力を感じていましたが、子ども食堂を運営するNPO法人の活動に参加するなど、実践的な学びの中で、日本にも多くの課題が残っていることを実感しました。国内・国外双方でのキャリアを視野に入れ、その可能性を探るようになりました。秋からのカナダへの留学や大学院での学びを通じ、本当に自分がしたいことをじっくりと見極めていきたいです。

これからの関西学院大学で学校生活を送る学生に向けてメッセージをお願いします。

草薙MSの履修を通して、内向的だった私が主体的に学ぶ姿勢を身につけられました。現在は新型コロナウイルス感染症の影響で海外渡航に制約が多い状況です。しかし、MSでは国連セミナーのオンライン開催や海外にいる著名な国連職員とのZoomでの双方向の授業など、コロナ禍をプラスに変えられるような充実したプログラムが展開されています。特に国連セミナーは本来ニューヨークの国連本部で行うものですが、オンラインになったことで時間や費用面では、非常に大きなメリットが生まれました。このような社会情勢の中でも、十分に学びの幅が広がるチャンスはあると思うので、興味があれば、積極的にMSも活用してみてください。

一言 コロナ禍で私たちの生活は一変しました。今後も様々な制約が課されるかもしれません。しかし私たち職員は、こうした混乱の中だからこそ自分たちにできることを考え、学びの機会の提供が滞ることのないよう日々試行錯誤しています。大学とはあらゆる立場にとらわれず、自由に物事を考えられる場所です。不安な時代ではありますが、ぜひ私たち職員を信頼していただき、異なる価値観・異文化への対話を恐れない、オープンマインドな心を育ててほしいと思います。