関西学院大学では、「どれほど困難な世の中であろうと、学生の将来のために、教育と支援をし続けていく」この決意と熱意を持ち、コロナ禍でも、「関学だから、いまできること」をスローガンに、様々な国際教育プログラムを企画・推進してきました。オンラインプログラムでは、海外協定大学との連携のもと、学生同士の交流を重視したプログラムを開発しており、できる限り現地学生との協働が授業時間の30%以上となるようデザインし、この条件を満たしたものをVE*1プログラムと定義しています。また、一定の基準を満たしたオンラインプログラムに対しては単位を付与しています。

2020年に実施したオンラインプログラム及び参加者数(全学開講)

14の国・地域のオンライン国際教育プログラムを31展開し、293名の学部生・大学院生が参加(2020年度実績)。新型コロナウイルス感染症が流行する中でも、多様な選択肢を学生に提供してきました。

提供プログラム

名称 プログラム数 国・地域 参加者数(実績)
交換留学 - - 55
外国語研修(VE含む) 17 アイルランド・タイ・台湾・韓国・イギリス・
アメリカ・オーストラリア・カナダ・マレーシア・
インドネシア・スペイン
131
国際学生セミナーフィールドワーク等交流プログラム 4 ベトナム・カナダ・インドネシア・
アメリカ・オーストラリア他
81
COIL*2/VE型科目 2 アメリカ 17

*1 Virtual Exchange(VE):海外協定大学の学生との交流をオンラインで実施するもので、授業時間数の30%以上を、本学の学生と相手校の学生との「協働学習」で構成するもの。

*2 Collaborative Online International Learning(COIL):Virtual Exchangeのうち、海外協定大学側とシラバスを共同開発し、授業提供も各大学協働で行うもの。各大学でそれぞれ科目を設置し、成績評価や単位の付与を行う。すべてのオンライン国際教育プログラムをVE/COILで実施することは難しいが、「できるだけVEにする」ことを全学で目指している。

2021年夏季オンラインプログラム参加者数(全学開講)

夏季のみで、昨年度を超える36のプログラムを展開し、参加予定者は約450名にのぼっています。(2021年8月初旬時点)

名称 プログラム数 内容 国・地域 参加者数
(実績)
グローバルPBL 6 海外協定大学や企業・団体等と連携し、提示された課題の解決策立案にグループで取り組む 台湾、オーストラリア、
ベトナム、カンボジア、カナダ
151
CCC Global
Career Seminar
1 カナダ4大学との協働。日加混成グループで、企業・団体等から与えられる課題解決策を立案する カナダ 19
インドネシア
交流セミナー
1 サティヤ・ワチャナ・キリスト教大学と1977年から毎年開催している国際合同セミナー インドネシア 15
外国語研修 12 海外協定大学が実施する、短期集中で外国語を学ぶプログラム アイルランド、イギリス、
マレーシア、タイ、
オーストラリア、カナダ、
アメリカ、韓国、台湾、スペイン
234
国連セミナー 1 国際機関職員との交流等を通じて、国際社会の課題に対する国際機構やNGO等の役割を学ぶ - 19
国連・外交
フィールドワーク
1 東ティモール、インドネシアの国連機関、外交機関を対象とした仮説検証型のフィールドリサーチ 東ティモール、インドネシア 17

GS Networkとは?

学生交流団体GS Network(Global Student Network)は国際教育・協力センター(CIEC)が運営する国際交流のための学生ピア・サポート団体です。現在約40名の学生メンバーにより運営され、昨年はコロナ禍の影響もありましたがオンラインを含む4つのイベントを開催しました。GS Networkでは、地域の団体や企業、他大学の国際交流団体などと連携する「連携部」、SNSやチラシを通じてイベントや活動を情報発信する「広報部」、円滑なイベント運営を裏方から支える「経理部」の3つの部門で協力して関学の日本人学生と留学生の交流促進のために様々な活動に取り組んでいます。

[Pick-Up]オンライングローバルカフェ

オンラインツール(Zoom)を活用し、関学生と関学で学ぶ留学生がグループに分かれて、自分の国のことやコロナ禍での過ごし方、お気に入りの映画やドラマについて気軽に話し合うイベントです。日本語または英語で開催され、初めて参加される学生も参加しやすいよう、各グループにはGS Networkのメンバーがサポートとして参加しています。2021年度は、5月より毎週開催され、これまで約200名の関学生や留学生が参加しました。今後、海外大学の学生をオンラインで招き、関学生と交流するイベントも企画しています。

[日時]2021年6月20日(日)14:00~15:40(オンライン開催)

関西学院大学は6月20日(日)、教育連携協定を締結している上智大学と合同で公開シンポジウム「オンライン留学を語ろう!~学生とともに考える、オンライン国際教育の可能性~」をオンラインで開催し、一般の方も含め約380名が参加しました。
コロナ禍によって海外渡航が難しく、「従来型の留学」の見通しが立たないなかで、「オンライン留学」の充実化が進んでいます。しかしながら、オンライン留学で学べることや魅力が十分に伝わっているとはいえず、また海外渡航にこだわるあまり、参加をためらう学生も少なくありません。そこで、オンライン留学を昨年から積極的に展開する両大学で、実際に体験した学生各2人がパネリストとなり、オンライン留学「でも」できたこと、オンライン留学「だから」できたこと、オンライン留学「では」できなかったことについて生の声を聞き、「今できること」の1つであるオンライン留学の促進を図りつつ、ポストコロナを見据えた国際教育のあり方を学生目線で検討することを目的に企画されました。本学からは、総合政策学部3年生の纐纈(こうけつ)響七さんと、経済学部4年生の佐藤美乃里さんが発表し、お2人からは「オンライン留学だからこそ、今まで興味がなかった分野のプログラムに気軽に参加することができ、視野が広がった」、「オンラインだからこそ積極的なコミュニケーションをとる必要性を感じた」などといった発言がありました。
最後に、国際教育の有識者としてお迎えした太田浩一橋大学教授から「オンライン留学を海外渡航型留学の代替としてではなく、多くのメリットや教育効果をもたらす新たな国際教育の形としてとらえるべきだということが、学生たちの声から明らかになった」との総括をいただきました。
また、閉会の挨拶では、本学の丸楠恭一副学長(国際連携担当)が「『境界を越える』ことが現代の学びの要となること、ICTがそれをより進化させ、オンライン留学という新しい学びの形が全ての学生に国際教育へのアクセスを可能とした一方で、オンラインだからこそ人と人の人間的なコミュニケーション能力の重要性がますます高まっていることがよくわかった」と締めくくりました。
関西学院大学では、このシンポジウムの成果を踏まえ、オンライン留学について、今後も単なる留学の代替としてではなく、学生たちの新たな可能性を拡げるツールとして開発・提供に取り組んでいきます。

ベトナムの異文化体験セミナーについて話す纐纈響七さん(総合政策学部3年)

カナダの4大学と本学が協働で実施するCross-Cultural College(CCC)での体験を話す佐藤美乃里さん(経済学部4年)