関西学院千里国際中等部・高等部(SIS)では、毎年秋学期の最終日に「プレゼンテーション大会」を開催。2020年は新型コロナウイルス感染症対策のもと、ボランティアスタッフ20名が運営に参加しました。
生徒が主体的につくる発表の場は、
自らの力を発見し、成長するきっかけに。
大洞 晴太郎 Ohora Seitaro
関西学院千里国際高等部
3年生
2019年冬にアメリカより転入。ランニング部主将。初めて体験するプレゼンテーション大会で実行委員会に立候補し、副統括を務める。
吉町 季至子 Yoshimachi Kishiko
関西学院千里国際高等部
教員
今回から初めて、高校生のボランティアスタッフが運営。
まず吉町先生から、プレゼンテーション大会の概要について教えてください。
吉町プレゼンテーションデイとは、千里国際中等部・高等部(SIS)が2003年から実施している中等部・高等部合同の伝統的行事です。SISでは普段から各授業の中でプレゼンテーションを多く扱っていますが、他の授業のプレゼンテーションも見てみたい、という思いから第一回目がスタートした経緯があります。今年度は、高校2年生の研究成果発表会「ポスター発表」と高校3年生による中学生への授業「ホームルーム(HR)ディスカッション」、各学年の授業成果を発表する「シアター発表」の3つの部門が同時開催されました。 また、今回は初めて高校3年生からボランティアスタッフ20名を採用。彼らにプログラム準備からそれぞれのHRへの連絡、当日のシアター発表での司会、ポスター発表の運営、ディスカッションのファシリテーターまですべてを任せ、生徒たちの手だけで回す1日としました。
そのボランティアスタッフが、大洞さんですね。
実行委員会に参加しようと思った理由やきっかけを教えてください。
大洞僕はアメリカから転入してきたばかりで、大会は初めての経験でした。どういうことをするのか全く分からなかったんですが、最高学年である高校3年生の意見や考え方を後輩たちに伝えることに意義を感じてスタッフに立候補しました。
苦労したことや、それをどう乗り越えたかを教えてください。
大洞大変だったのは、新型コロナウイルス感染症への対策でした。密を避けたり、物の共有を控えたりする必要があったので、座席を空けて配置し、資料配布はできるだけオンラインで行うなどして、感染症対策に努めました。
面白かったことや、やりがいを感じたことは何ですか。
大洞コロナ禍のためイレギュラーな形でのプレゼンテーション大会になりました。想定外の問題に直面するたび、解決方法を考え実行する。そうやって試行錯誤していく過程に、最もやりがいを感じました。
先生から見ておられて、大洞さんの働きぶりはいかがでしたか。
吉町コロナ禍のこともあって、当日のスケジュールはとても複雑になっていたんです。でも(大洞)晴太郎は細部までしっかりと把握していて、最終的には私が次の動きを教えてもらうぐらい頼もしい存在に。準備と各チームとの連携がうまくいったため当日は大きな問題も生じませんでした。
大洞忙しくなると覚悟していたのですが、余裕を持って業務に取り組むことができました。20人のスタッフ全員が自分の役割をちゃんと理解して、動いてくれたからだと思います。
一人ひとりの力を引き出し、生徒同士のつながりで高め合う。
今回の経験を通じて、どのような力が身についたと感じますか。
大洞自分で感じたのは、その場の状況に応じて行動する対応力や臨機応変さ。進行状況を理解しながら、みんなをまとめていくリーダーシップの力も向上したと感じます。
吉町(大洞)晴太郎はじっくり考えて、冷静に対処できるのが持ち味。自分の意見をしっかりと言いますが、相手の意見を聞く力も秀でています。他のボランティアスタッフたちを論理的な面でサポートしてくれていました。もともと彼に備わっていた力が、活動をきっかけに引き出されたのかもしれませんね。
大洞進学先の大学では、プレゼンテーション大会で培った力を存分に活かしていきたいと思います。例えば、授業の中でグループワークをするとき。価値観の異なる意見にも耳を傾けながらお互いの理解を深め、最良の成果に導いていけるよう働きかけていきたいです。
プレゼンテーション大会は、様々な学びや成長の機会を得られる場でもあるんですね。
吉町スタッフであれば、多くの人と場所を把握する空間能力、あらゆる場面を想定しておく想像力、予期せぬ問題に臨機応変に向き合う柔軟性が必要です。なおかつ、スタッフ同士の連携を円滑にするための論理力と伝達力、良好な関係づくりにつながる受容力なども身につけることができます。スタッフが立派に活動している姿は、他の生徒たちにも刺激になったと思います。
最後に先生から、千里国際中等部・高等部で学校生活を送る生徒やその保護者の方に向けてメッセージをお願いします。
吉町コロナ禍という逆境があったからこそ、新たな工夫が生まれ、例年を上回る実りの多い大会となりました。中でも初めて実施された「HRディスカッション」では、発表した高校生から「自分の発信に中学生が素直に反応してくれて、ものすごく楽しかった!」との感想が。満面の笑みで話してくれた生徒の顔を見て、中学と高校を結びつける大会の意義を改めて確信しました。これからも千里国際は、中等部・高等部を備えた学校としてのメリットを最大限に活かす学びを展開していきます。