Advanced K.G.

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「国際社会貢献活動」は、開発途上国でボランティア活動を行う関西学院大学独自のプログラム。派遣先のスタッフや現地の人々と約5ヵ月間協働し、その活動内容は派遣先に応じて多岐にわたります。

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海外への一歩を踏み出したことで見えてきた自分の課題や夢。
未来につながる学びに出会いました。

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小野 太雅
Ono Taiga

関西学院大学
総合政策学部 国際政策学科
4年生

関西学院中学部・高等部を経て関西学院大学へ進学し、3年次に国際社会貢献活動でタイへ派遣される。卒業後は日刊工業新聞社に内定。

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一森 春乃
Ichimori Haruno

関西学院大学
国際学部 国際学科
2年生

芦屋国際中等教育学校卒業。国際協力の意義や方法を学びたいと考えていたため、国連やJICAに所属していた教員による授業に魅力を感じ、関西学院大学を選択。

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出射 里咲
Idei Risa

関西学院大学
経済学部
2年生

金城学院高等学校卒業。高校での留学経験から中進国※に興味を持ち、グローバル入学試験Ⅰ型「国際社会貢献活動を志す者のための入学試験」にて入学。
※発展途上国よりも所得が多く、先進国よりは所得が少ない国の総称。

途上国で活動しながら、専門スキルも身につく関学ならではのプログラム。

まず、皆さんが「国際社会貢献活動」への参加を決めた理由やきっかけを教えてください。

小野子どもの頃からボーイスカウトに所属し、ボランティア活動をしたり、世界中のボーイスカウトが集結するイベントに参加したりしていました。そのため、自分にとって社会貢献や国際協力は身近なことでしたが、実践的なスキルや知識、経験がないため多くの現場で自身の限界や課題を痛感。大学に入学し、国際社会貢献活動に参加されていた先輩のお話に刺激を受け、参加を決めました。

出射私は高校生の時、マレーシアに短期留学をしたことで途上国、特に中進国に興味を持つようになりました。それまで抱いていたイメージと違って、現地には日系企業が多く進出しており、ビジネス的にも文化的にも深くつながっていることに驚きました。日本と新興国の架け橋になり、両国にとって有益となる関係の構築に携わりたいと思ったことが応募の理由です。

一森大学1年次にミャンマーで1週間のフィールドワークを経験しました。初めての途上国は何もかもが刺激的で学ぶことが多く、数々の想定外の魅力に出会うことができました。次回はもっと長く滞在し、そこで働くことでさらに新たな側面が見えるのではと期待してプロジェクトに応募しました。

「現地で働く」というのがプロジェクトの大きな特色であり、魅力になっているんですね。

出射はい。受験時にいろいろな大学の留学プログラムを調べたんですが、日本と関わりのある途上国で働けるというのは関学だけでした。ボランティア活動にビジネスの要素が加わることで、持続的な貢献につながると感じました。

小野僕も、先輩の「途上国で生活したり、働いたりしながら、専門的なスキルを身につけることができる」という言葉にとても惹かれました。

一森大学の授業では知識として開発協力や経済格差などを学ぶのですが、実際に現地で働くことでより実践的な知見を得られると思います。

周囲に目を配り、率先して行動。不言実行の積み重ねを心がけました。

小野さんはプロジェクトの経験者ですが、どちらに行かれたか教えていただけますか。

小野タイの「TPA(泰日経済技術振興協会)」という機関に派遣されました。TPAはタイの経済発展のため、日本からタイへの最新技術と知識の移転、普及、人材育成を行うことを目的に設立された非営利団体で、ビジネス色の強い組織です。

一森さんと出射さんはこれからですが、どちらに派遣予定ですか。

一森3年次の春に「VJCC(ベトナム日本人材開発インスティテュート)」という国際人材育成機関に行く予定です。派遣されるのはハノイです。

出射一森さんと同じVJCCで、私はホーチミンに派遣予定です。大学でビジネスにも興味が出てきたので、経済分野の交流促進や人材育成などの活動に取り組むVJCCを希望しました。

先輩の小野さんから、派遣先でどんな活動やお仕事をされていたのか教えてください。

小野最初は自分でもできるような仕事を見つけて、何でもやるようにしていました。そのうち広報の役割を担うことになって、組織の新しい予定管理方法の提案や、機関誌に掲載するコラムの執筆などを行っていました。同僚や上司からの信頼を得るに従って責任の重い業務を任されるようになり、インターンシップの後半にはウェブデザインに関するIT知識を活かしてホームページの改善を提案し、それを実施することができました。

実際に現地では、大変なこともあったかと思います。どんな苦労がありましたか。

小野一番悩んだのは、人間関係の構築でした。職場の上司や同僚は友達ではなく、大学の先生や親でもない。当初はどう接すればいいのか非常にとまどいました。ましてや、彼らの多くは育った文化や言語が異なり、私の語学力も不十分。未経験の環境と言語が大きな壁となって、仕事を回してもらえないことも多々あり、組織での自分の存在意義に疑問を感じていました。特にショックだったのは、現地の方から「あなたは冗談を一切言わないし、ユーモアがない」と言われた時。おそらく「失敗してはいけない」と真剣に業務に取り組んでいたことが裏目に出て、そういう評価につながったのだと思います。SNSで日本の友達が遊んでいるのを見てホームシックになるほど、しんどい日々でしたね。

そのような悩みや課題を、どのようにして乗り越えていかれたのでしょうか。

小野トライ&エラーを繰り返すうち、私自身が周囲の人たちを信頼しなかったのではということに気づきました。そこから職場では信頼の証である笑顔を絶やさないようにしました。そして周囲の状況を俯瞰的に見ながら、今どんな行動が求められているかを察知し、相手から指示される前に行動するよう心がけました。率先して不言実行を積み重ねることで、職場の関係性が良くなり、組織での立ち位置も確立してきたように思います。

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身についたのは逆境に怯まず、行動し続ける精神力。

小野さんは国際社会貢献活動での経験を通じて、どんな力が身についたと感じますか。

小野人間関係や語学で苦労しましたが、タイのフットサルチームに所属したり、空き時間にタイ語を学んだり、自身を取り巻く環境に適応するため、できることは何でもしました。その経験から、どんな逆境にも怯まず、自ら行動し続ける精神力を得られたと思います。

出射フットサルのように、スポーツでつながれるっていいですよね。

小野実はサッカー経験はなくて、初めはチームメイトと有名な日本人選手の名前だけでやり取りしていました(笑)。インターンシップ後半から語学学校に通うようになったのですが、サークル活動の中でも仲間がタイ語を教えてくれるので楽しみながら勉強できました。少しずつタイ語を使えるようになったことで、職場でもコミュニケーションが取りやすくなり、状況が変化していくにつれて人間関係を築くことがむしろ楽しみになっていきましたね。

出射タイの方にとっては、言葉だけではなく、自分の国の言語を学ぼうとする姿勢からも、小野さんの気持ちが伝わっていったのだと思います!

小野そう感じてもらっていたなら、うれしいですね。

一森プロジェクトに参加した経験は、将来の進路にも影響しましたか。

小野とても影響を受けました。入社予定の会社は「日刊工業新聞」という産業総合紙で、日本の企業やモノづくりの現場を取材して記事を書くことが仕事になります。プロジェクトで派遣されたタイでは、製造業の重要性や産業界の現状を目の当たりにしたり、企業のトップの方とお会いしたりする機会が多くありました。学生でありながらとても貴重な経験ができたことで、自分の内定先である企業への理解が深まり、この会社で働きたいという気持ちも強まりました。そんな自分の思いと企業の求める人材とがマッチするスキルを、プロジェクトによって身につけることができたと感じています。

プロジェクトから得た、かけがえのない学びとつながり。

では、派遣予定の一森さんと出射さん、現地でチャレンジしたいこと、学びたいことを教えてください。

一森べトナムと日本がより良い国際関係を築くための実感や知見を得ることが目標です。現地では自分が日本を代表する1人と意識し、スタッフやVJCCを訪れる方々との交流を通じて、日本をもっと知りたい、日本に行きたいと感じてもらうことも目標のひとつ。派遣期間中に少しでも、両国の良好な関係づくりに寄与できればと思っています。

出射女性の社会進出や日系企業とのつながりについて、現地の人の声を聞きながら学びたいです。日本で調べたことや学んだことを、現地で、自分の目で、確かめたいです。

海外派遣に向けた事前学習では、勉強会などに2人一緒に参加されていますね。その学びを通じて、どんなことが身につきましたか。

一森ベトナムの歴史や政治経済体制などと同時に、国富論や資本論といった理論も学ぶことで、現地の状況を多面的に見られると思っています。派遣先が日本の経営をレクチャーする機関なので、日本式経営の特性やその有効性、VJCCの意義をしっかり認識できたことで、現地での目的意識も明確になりました。

出射ミクロな視点だけではなく、マクロな視野からもベトナム、日本の社会体制などを学んでいます。インプットの知識が増えただけではなく、得た知識をもとにみんなで議論をすることによってアウトプットの力も身についてきました。

その身についた力を、派遣先ではどのように活かしていきたいですか。

一森現地で考えたり、行動したりするとき、学んできたVJCCの意義や役割が私自身の指針となっているので、高い意識を持って活動に取り組めると思います。学びから得た「軸」を、メディア発信や様々な企画サポートの際にも活用していきたいです。

出射事前学習でインプットした情報を、現地での広報活動に活かしたいです。広報は自分の考えや知識が表われる業務なので、学んだ知識を使って自分ならではの見方、感じ方、伝え方ができるようになりたいです。

2人の意見を聞いて、先輩の小野さんからアドバイスはありますか。

小野理論も大切ですが、現地では実践的な即戦力やスキルも求められているように感じました。例えば私は広報担当でしたが、パソコンのスキルがもっと高ければ、より貢献できたのではと思う場面がありました。現在の勉強と並行して、組織で役立つような実務スキルも一緒に磨いていけば力になると思います。関学では定期的に目的に応じた集中プログラムを開催しているので、参加するのも一つの方法ですよ。

一森/出射ありがとうございます。ぜひ参考にします!

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新型コロナウイルス感染症の影響で現時点(2021年1月)では派遣の日程なども不透明な状況ですね。

出射はい、現地の状況や業務内容なども例年と大きく変わると考えられます。でも、コロナ禍だからこそチャレンジできることはあると思うんです。例えば、一森さんと話していたのは、オンラインで世界各地の人々と交流するイベントなど。新しい環境を好機と捉えて、自分ができることを考えていきたいです。

一森ベトナムに行ける、行けないは別として、目標に向かっていく過程で様々なインプット・アウトプットができたり、同じように頑張っている仲間や先輩と出会えたり。もし行けなかったとしても、事前の勉強会などで得た知識やつながりは自分にとってかけがえのないものになっています。

先輩の小野さんから、2人にメッセージがあればお願いします。

小野このプログラムには、成長できる機会が三段階あると思います。まず事前準備としてスキルを磨いていく中で、これまでの自分の活動や成果をかえりみて強みを見つけるという「経験の棚卸し」ができるんです。その段階で、まず第一の成長がある。そして派遣中に精神的・スキル的な成長があり、帰国後は現地での活動を振り返ってさらなる成長につなげる。一森さんや出射さんのように、目標や夢があって自らの成長に前向きな学生には最適なプログラムだと思います。

プログラムを経験する中で、関西学院大学に対して改めて感じていることはありますか。

出射派遣を中止する大学もある中で、CIEC(国際教育・協力センター)では親身に相談に対応いただき、私たちのために何とか実現できるようギリギリまで考えてくださっています。頑張ろうと思う人に対して、すごく応援してくれる大学だなって思います。

一森目標を持って前向きに取り組む人たちが集まっていて、その夢を実現するための多彩なプログラムも整っています。志の高い人たちとつながり、自分も成長できる環境だと感じます。

小野中学部から所属していたことで、社会貢献活動を知り、プロジェクトという目標に出会い、将来につながる学びを経験できました。関学には感謝の気持ちでいっぱいです。

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