Vol.3 関西学院中学部 青島キャンプ
無人島生活を通して仲間との絆を深めながら
やり遂げる喜びを共有し、自立と共生の精神を育む
大学生リーダーとともに中学生が無人島生活に挑戦する、関西学院中学部の伝統行事 青島キャンプ

写真左から小池さん、中野さん、東さん
Profile

法学部 3年
小池 明輝さん

中学部 2年
中野 巧之助さん

中学部 2年
東 未羽希さん

2024年8月、3泊4日の青島キャンプが実施されました。出発前の意気込み、また実際に参加した感想を聞かせてください。
東部活動の先輩から体験談を聞いて、皆で食事を作るのを楽しみにしていました。草刈りなど体力を使う活動もあるので、覚悟をもって挑みました。
中野就寝時にテントに虫が寄ってくるのが想像するだけで大変そうだと思っていましたが、アウトドア派なので楽しみにしていました。
小池私は中学部でラグビー部のコーチをしています。そこで先輩からの誘いを受けて大学生リーダーとして青島キャンプに参加。普段部活動で接している生徒たちが、普段あまり経験することのない暑さと不便さの中でどのようにキャンプを乗り越えるのかを見守りたいと思いました。
東実際に参加して大変だったことは、なんといっても暑さです。夜になって日が沈んでも涼しくならなくて。特に1日目は暑すぎて、この後のテント泊生活に耐えられるか不安になりましたが、海に浸かって体を冷やしたり、うちわであおいだりして工夫するうちに眠れるようになりました。
中野本当に暑かったですね。真夏にクーラー無しで眠るのがこんなにも大変だとは思っていませんでした。キャンプ場には飲み水がなく、地元の方々が毎日船で水を運んでくださいます。冷蔵庫で冷えた水が飲めないのは辛かったですが、多くの人の支えによってキャンプが成り立っていることを実感しました。
東日常と大きく違ったのは、テレビやスマートフォンにほとんど触れなかったこと。SNSがなくても、仲間と釣りをしたりカヤックをしたりして自然の中で過ごすだけで、とても楽しく充実した時間になることに気づきました。
小池さんは大学生リーダーとして参加されました。活動の中で大変だったことは何ですか?
小池1日目は生徒たちが少しでも困っているとつい手助けしてしまい、その加減が難しく大変でした。私自身も関西学院中学部の出身で、過去にキャンプを体験したことがあります。当時のリーダーとの関わりや自分の成長を思い出し、その晩「生徒に自立してもらうこと」を改めて目標に掲げました。直接手を貸さず、ケガや事故がないよう見守ることに徹すると、生徒たちも自然と自分たちでスケジュールを管理するように。何もしないリーダーだと思われていなかったか心配ですね(笑)。
東とても頼りになる存在でした。私たちが自発的に次の行動に移れるよう、「時計を見て」と助言してくれたのが印象に残っています。
中野いつも皆の気持ちがプラスになるような声掛けをしてくれました。時間と根気を要する火おこしなどで挫けそうになった時に「頑張れ!」と励ましてくれたおかげで、様々な困難を乗り越えられたと感じます。
青島キャンプの中で一番印象的だったアクティビティは何ですか?
東班での夕食づくりです。1日目に作ったカレーは少し失敗してしまいましたが、2日目は前日の教訓を活かして上手に作ることができました。私が作った料理を皆が美味しいと言ってくれたことが嬉しくて、家に帰った後もたまに料理をするようになりました。また、キャンプの象徴となるカウンシルファイヤーの薪を井桁に組む仕事を私たちの班が担当したことも心に残る思い出です。
中野カウンシルファイヤーでは生徒たちが今後の決意表明をする場面がありました。私は「どんな状況でも周囲のやる気を高める声掛けができる人になる」と宣言しました。東さんは自立について話していましたね。クラスメイトの素直な思いが聞ける貴重な時間でした。自由時間の活動ではカッターが面白かったです。10人くらい乗っているので皆で息を合わせてオールを漕ぐのが大変でした。その分うまく進んだ時は嬉しかったです。

小池皆良い顔をしていましたよ。私は班と一緒に行動するリーダーを担当したので、生徒の達成感や喜びを間近に感じることができました。例えばテントを張り終わった時や炊爨で美味しいお米が炊けた時など、しんどい中できらりと光る表情に胸が熱くなりました。
「中学部の成人式」とも称される青島キャンプ。どのような気づきや学びがありましたか?
中野皆で協力する活動が多い青島キャンプを通して、私は個人活動よりもチームプレーやグループワークが好きなタイプなのだと改めて確認することができました。また、班長として班全体を把握する役割を担ったことで、周囲を見る力が自然と身につきました。この力は、ラグビー部でキャプテンを務める際にも役立っています。
東キャンプ中、トイレ掃除を担当する場面があったのですが、これまで家では一度もしたことがありませんでした。こうして普段私の知らないところで両親が生活を支えてくれていることを実感。何気ない日常への感謝の気持ちが湧いてきました。
小池私はリーダー活動を通して、中学生目線で物事を考える力がつきました。例えば、ラグビー部の活動では「試合に勝つ」というゴールは大学生も中学生も同じですが、ラグビーの基礎の完成度は異なります。これからもコーチとして生徒たちと関わっていくので、彼らの状況や気持ちに寄り添ったコーチングを磨いていきたいです。