Vol.1 関西学院大学 経済学部 栗田ゼミ
思考と行動を繰り返す毎日。
ゼミ生同士で手を取り合い、社会課題の解決に貢献
SDGsの発信と地域活性化を目的として開催し、盛り上がりを生んだAMA WORLD FES
Profile
経済学部
栗田 匡相教授
経済学部 4年
野田 皓子さん
経済学部 4年
楊井 健太郎さん
栗田教授の研究分野を教えてください。
栗田開発経済学・国際経済学を専門として、主に海外を対象とした研究を行っています。近年は、まちづくりや障がい者介護、防災など国内の多様な社会課題の解決に取り組む活動も始めました。
お二人が栗田教授のゼミを選んだ理由を教えてください。
楊井祖母がユニセフのマンスリーサポーターをしていたり、小学校卒業時にランドセルを発展途上国に寄付したりするなど、幼い頃から国際問題に触れる機会があり、漠然と関心をもっていました。大学2年生の頃、マレーシアでの国際ボランティア活動に参加。生活環境のギャップを肌で感じ、開発課題について真剣に考えたいと思うようになりました。国際課題を扱うゼミの中でも栗田ゼミを選んだのは、2年次にゼミの授業を受講できるプレ演習で、本気で経済学を学び、実践にうつせる環境が整っていると感じたからです。
野田出身地の長崎県で集中豪雨や土砂災害が多発し環境問題に関心があったこと、高校で政治経済を学んだ際に経済学に興味が湧いたことから、入学以前から大学では環境経済学を学び、将来環境問題の解決に貢献したいと考えていました。ゼミ選択時には、環境経済学を専門とした複数のゼミの説明会に参加。どのゼミにするか悩んでいた時に、栗田ゼミの説明会に偶然参加し、主体性をもつことの重要性を語る先生のお話や、ゼミの先輩の生き生きした姿に感銘を受けました。学びたいことを先輩に相談した際に、栗田ゼミでは幅広い分野を学べ、環境経済学も研究できると背中を押されたのも所属を決めた理由の1つです。
ゼミの活動について教えてください。
野田ゼミは週に1度あり、3年生、4年生が学年ごとにゼミを行った後、2学年合同のゼミを実施します。計量経済学などの専門分野の勉強に留まらず、ゼミ生全員で同じ本を読んで意見を交換する読書会やビブリオバトル、研究の進捗報告や相談会など活動は様々です。学年を越えた交流があること、人前に出る機会や、自分の意見を伝える機会が多いのは本ゼミの特色ですね。常に自分とは異なるいろいろな視点に触れ、新たな気づきを得られます。
楊井3年次の夏に海外でフィールドワークを行うのも栗田ゼミならではです。私たちはケニアとマダガスカルへ行きました。ヒアリングや実験を通じ、現地のビジネスや農業に関する課題について分析。調査結果はJICAやJETROの職員の方に報告しフィードバックをいただきました。現地の方には英語も伝わらず、様々な面で苦戦しましたが、現地の大学生に通訳をしてもらうなど多くの人の協力を得ながら、仲間と励まし合い、乗り越えられました。
野田苦労を共にした同期とは一生ものの絆が築かれました。とにかく実践が重んじられているゼミで、最大の特長は、学生が実際に社会課題の解決に挑むこと。子どもの学習支援から日本酒の振興まで多岐にわたるテーマの多くのプロジェクトを進めています。活動は有志で行いますが、多くの学生が複数のプロジェクトに参加しています。
栗田私の役割は企業や地域の方とのつながりを作り、活動のきっかけを提供すること。その後は、学生たちが自力で進めます。社会に出て経験を積むことは学生にとって有益なのはもちろん、課題を抱える現場では学生たちがもつ経済学に関する知識や技法が確かに役立ちます。実践を通じて学んでほしいことは、プロセスの大切さ。1分1秒変わる社会の中で求められるのは、今どう動くべきか、絶えず思考し行動することです。
昨年度は尼崎市でAMA WORLD FESを開催し、好評を得たとお伺いしています。
楊井AMA WORLD FESは、尼崎市の人にSDGsに関わる様々な社会課題について知ってもらうことと、地元の魅力を再発見してもらうことを目的としたお祭りです。SDGsに関する活動を行う団体や地域の飲食店に出店いただき、大盛況のうちに終えることができました。
野田尼崎市の地域活性化を図るプロジェクトが発端となった、活動に協力してくださった地域の方々への恩返しの気持ちも込めたイベントです。開催に際しては、ゼミ生で協力し1から準備・計画を進めました。特に印象に残っているのは、出店・協賛していただける企業を探したことです。1軒1軒足を運び、お願いに伺いました。地道で大変な取り組みでしたが、協力してくれる方が別の方を紹介してくれるなど、人の温かさに触れられた思い出でもあります。
楊井力を注いだからこそ、イベント当日、老若男女が一堂に会し、地域の方同士の交流が生まれているのを目にした時は感動しました。
栗田尼崎の企業の方にもお褒めの言葉をいただきましたね。元々、若者が集まるイベントをしたい意向はあったものの、うまくいかない状況にあったそうです。そのような中で大成功を収めたことに、とても感動されたようで、また開催してほしいとご要望をいただきました。
野田現在、今年の開催に向けて準備を進めています。今年は、さらに人と人とのつながりが生まれ、深まるようなイベントにしたいです。
栗田本イベントでも、その他の場面でも学生たちは本当によく頑張っていますね。その頑張りが実を結び、活動の場はどんどん広がっています。今年からは学生版のシンクタンクを設立。企業や行政の課題にさらに本格的にアプローチしていきます。学生時代に大切なのは、主体性をもって行動し、たくさん汗を流すこと。こうした経験を糧に自分が望む道を歩んでいってほしいと考えています。