OG・OB INTERVIEW

OG・OB INTERVIEW

2014年に株式会社フジテレビジョンに入社後、3年目に「めざましテレビ」MC(メインキャスター)に抜擢され、2018年からは「ジャンクSPORTS」の進行役も務めている永島さん。
確かなアナウンス力と明るいキャラクターで、幅広い世代の方から親しまれています。
輝かしく活躍されている永島さんに学生時代のエピソードやお仕事への想いをお尋ねしました。

― 関西学院大学に進学された理由と、社会学部を選ばれた理由をそれぞれお教えください。

私が関西学院大学を選んだ一番の理由は、伸びやかな雰囲気に惹かれたからです。初めてキャンパスを訪れたときのドキドキは今でも覚えています。時計台の美しい校舎や緑が茂った中央芝生、そしてキャンパスを歩く部活帰りの学生たちの楽しそうな顔…。「ここでなら、自分の好きなことに打ち込めそう」。そんな期待感で胸がいっぱいになりました。また、社会学部を専攻した理由は、高校生の頃から人と社会とのつながりや、人の心について興味があったからです。現代社会学やメディア・コミュニケーション学、社会心理学など、分野の枠にとらわれずに知りたいことをたくさん学べることが魅力的でした。

― 「社会」に目を向けるという点で、まさに今のお仕事と関係が深い学部ですね。高校生の頃から、将来はアナウンサーになろうと決めていたのですか。

いいえ、全く考えていませんでした。というのも実は私は小さい頃から、極度の引っ込み思案で…。人前に立つと足がすくんでしまうほどでした。何か発表しないといけない場面では必ずカンニングペーパーを持って下を向きながらそのまま読んでいましたし、体育祭の競技に参加することすら嫌で嫌で仕方なかったんです。

― 普段テレビで見る姿からは想像もつきません。では何がそんな永島さんを変えたのでしょうか。

私の大学時代というのは、「挑戦を繰り返した4年間」と言えるほど、多種多様なことにどんどん取り組みました。それが自分を変えた大きな要因だと思います。最初のきっかけとなったのは「スタディスキルセミナー」という、「読む・書く・話す・聴く」のスキルを高める授業でした。あるとき、自分の考えを発表する機会があり、私はとても緊張していました。ですが周りのクラスメイトはというと、堂々としている上にプレゼンがとても上手。質疑応答にも臆することなく自分の意見を述べていました。そんな彼らを見ているうちに、私も「こんなふうに話せるようになりたい!」と刺激を受けたんです。また、大学に入って始めた接客のアルバイトも私の中では大きな経験です。大好きなアイスクリーム屋で働いてみると、接客は思ったより楽しく、話す力はもちろん聴く力や対応力がどんどん身についていきました。ほかにも大学のダンスサークルなどさまざまなことに挑戦しましたが、なかでも一番思い出深いのは、神戸市をウエディングの街としてPRする「神戸ウエディングクイーン」の活動ですね。このネーミングを自分で言うのは恥ずかしいですが(笑)。人前で話すことにはまだまだ自信がありませんでしたが、「大好きな地元神戸のことだったらきっと熱意をもってPRできるはず!」と勇気を出して応募。ありがたいことに「神戸ウエディングクイーン」の一人に選んでいただけました。ですがほっとしたのも束の間で、あるとき一人でトークショーのMCを担当することに。選ばれた三人が常に一緒に活動するものと思い込んでいたので、まさに寝耳に水です。緊張と不安で、逃げ出したいとさえ思いました。ですが悩んでいるうちに、そもそも応募したきっかけはこんな自分を変えたかったからだということを思い出しました。これを乗り越えないと何も変わらない。そして何よりも、私を「神戸ウエディングクイーン」に選んでくださった人たちの想いに応えたい。やるからには本気で取り組もうと気持ちを切り替え、トークショーのテーマに関わることを徹底的に調べ尽くし、本番をイメージしてトークの練習を何度も行いました。

永島 優美さん

トークショー当日は、不思議と、不安よりも楽しみな気持ちが大きくなっていました。本番が始まっても不安はなく、むしろ話が弾んで心に余裕ができ、次第にお客さまの方へ視線を向けられるようになりました。そのとき目にした光景は忘れられませんね。皆さんが私を見て、熱心に話を聞いて、深く頷いたり、笑ったりしてくれている。会場が一つになって盛り上がっている。私の言葉がちゃんと一人ひとりに届いているということに気づき、なんとも言えない感動と高揚感で胸がいっぱいになりました。話すことが伝わるって、こんなにうれしいものなんだと…。それからもう一つ、今でも鮮明に覚えているのは一番前の席に座っていたご高齢の女性のことです。トークショー中は私の発言に対して「うんうん」と誰よりも大きなリアクション。そして無事にトークショーが終わると、その方が私のいる舞台裏へやって来て、弾んだ声でこう言ってくださったんです。「私、あなたの話し方すごく好きよ。聞き取りやすかったし、本当に良かった。応援しているから頑張ってね!」。その言葉を聞いた瞬間、人前で話すことへの苦手意識が嘘のように吹き飛んでいきました。私にも人の心を動かすことができるんだ! その気づきは大きな大きな自信になりました。ほんのちょっとしたきっかけで人って変われるんですね。この経験から「言葉で伝える」という仕事に興味が湧き、アナウンサーという職業が将来の夢になりました。

テレビの前にいる一人ひとりの方が、
見て良かったと思える番組をつくっていきたい。

― 勇気をもって一歩踏み出してみたことから自信が生まれ、大きく変わることができたのですね。

そうですね。フジテレビに入社できたのも、挑戦してみることの大切さを知ることができたからだと思います。就職活動時には、「せっかくアナウンサーをめざすのだから、キー局も受けてみよう。どうせ無理だろうと考える前にまずはやってみよう」と前向きに考えられるようになっていました。

― では次にお仕事についておうかがいします。2014年に関西学院大学卒業後、アナウンサーとして株式会社フジテレビジョンへ入社。そして3年目より朝の情報番組「めざましテレビ」のMCを、昨年からはスポーツトークバラエティ番組「ジャンクSPORTS」の進行をそれぞれ務められていますよね。アナウンサーというと「原稿を読む仕事」というイメージが強いのですが、具体的にはどのような業務を担当されているのでしょうか。

アナウンサーの仕事の基本となるのはやはり原稿を一字一句正確に読み、視聴者へ情報を確実に伝えることです。それが土台にあり、番組によって果たすべき役割が少しずつ変わります。例えば「めざましテレビ」の場合はニュースやエンタメ情報を取り扱うので、新聞やテレビなどをこまめにチェックするのも私の仕事の一つです。刻々と変わる世の中の流れを把握して、理解した上で情報を伝えることができれば「何が話題なのか、どんな内容なのか」を朝の忙しい中でも視聴者の方によりわかりやすく伝えられると考えています。また、イベントやライブ会場などに足を運び、体験することも大事にしています。その場でしか味わえない雰囲気を感じ取ることで初めて、感想を自分の言葉で伝えられる。言葉一つひとつに真実味が増してくると思います。
一方で、「ジャンクSPORTS」はMCが浜田雅功さん、私は進行の立場です。この番組のジャンルはスポーツトークバラエティなので、私の役割は番組としての大きな流れを気にしながら、出演されているアスリートの方やスポーツの魅力が視聴者の方にきちんと伝えられるように話を進めていくことです。ときには台本通りではなくても、気になったエピソードを掘り下げて聞いてみたり、別の出演者の方に話を振ってみたりと、どうすればもっとおもしろくなるか、自分で判断して行動することもありますね。出演者の方の情報を記憶から引っ張り出して話題を振るので、頭はいつもフル回転です(笑)。

めざましテレビ
めざましテレビ:入社3年目に、人気番組「めざましテレビ」のMCに抜擢。朝の顔として視聴者に、最新情報と元気を届けている。
めざましテレビ放送日時:毎週月〜金曜日 5:25〜8:00
ジャンクSPORTS
ジャンクSPORTS:「ジャンクSPORTS」ではMCの浜田雅功と息の合った掛け合いをしつつ、出演者の魅力を引き出すことに挑戦中。
ジャンクSPORTS放送日時:毎週日曜日19:00〜20:00

― アナウンサーという立場は同じでも、番組によって求められるものは全く異なるのですね。「めざましテレビ」「ジャンクSPORTS」のほかにも特別番組の司会など幅広くお仕事をされていますが、アナウンサーとして一貫して大切にされていることはありますか。

番組を見た視聴者の方がどう感じられるかを意識して、発言したり行動したりするように心掛けています。大学時代の「神戸ウエディングクイーン」のトークショーで自分の言葉が一人ひとりの心にまでちゃんと届くと実感したことや、お仕事で日本各地に行くと本当にたくさんの方に「先週の〇〇の特集を見たよ!」と声を掛けていただく中で、情報を発信するというこのお仕事の影響力の大きさをひしひしと感じるようになりました。ですのでただニュースを読むだけでなく、できるだけ自分の言葉でわかりやすく伝えられるように工夫したり、出演者の方の魅力をより伝えられるように進行の仕方を試行錯誤したりしています。ほかにも、原稿の中に誰かを嫌な気持ちにさせてしまうかもしれない表現や強すぎる文言があれば、柔らかいニュアンスの言葉に代えて読みます。

またエンタメコーナーでは視聴者の方も一緒に楽しんでいただけるように流行のダンスを朝5時台から全力で踊ってみたりと身体を張ることもあります。毎日、毎回、扱う情報が膨大ですし内容も異なるので大変なこともありますが、視聴者の方に「見て良かった」と思ってもらえるためなら何事にもチャレンジすることを心に決めています。それが、アナウンサーとしての私ができる一番の“Mastery for Service”かもしれませんね。

永島 優美さん

またエンタメコーナーでは視聴者の方も一緒に楽しんでいただけるように流行のダンスを朝5時台から全力で踊ってみたりと身体を張ることもあります。毎日、毎回、扱う情報が膨大ですし内容も異なるので大変なこともありますが、視聴者の方に「見て良かった」と思ってもらえるためなら何事にもチャレンジすることを心に決めています。それが、アナウンサーとしての私ができる一番の“Mastery for Service”かもしれませんね。

― では最後に、今後の夢や目標などあればお聞かせください。

アナウンスの技術や司会進行の能力をさらに磨くなど、目標はたくさんあります。例えば今年のお正月の「爆笑ヒットパレード」の進行では、芸人の方々が盛り上がって喋っているのに途中で遮ってしまったら申し訳ないと一区切りつくのを待ってしまったのですが、それをスタッフの方から「あの場合はバッサリ切ってしまわないと間延びしてしまう。それに無理やり切り上げる方が、芸人さんにとってむしろオイシイ場面になる可能性もあるんだよ」と言われ、思わずハッとしました。6年目にもなりこの仕事にだいぶ慣れてきたと思えることが増えたのですが、まだまだ全体を見渡して番組をつくっていくという観点が足りていなかったんですね。もっと指揮者のような広い目配りでその場その場でベストな答えを探っていかなければと毎回自分に言い聞かせています。このようにまだ上手くできないこともありますが、この先もどんなことにも逃げずにまっすぐ立ち向かっていきたいです。そうやって頑張っていけば、また私の人生に新しい扉が開くかもしれない。ちょっとしたきっかけで人は変われますから。自信のない大学生だったあの頃の私が、今も背中をそっと押してくれているような気がします。

PROFILE

永島 優美さん インタビュー風景

永島 優美YUUMI NAGASHIMA

ながしま ゆうみ / 関西学院大学社会学部在学中に経験した、神戸市のPR活動がきっかけでアナウンサーを志望するように。株式会社フジテレビジョン入社後は、「めざましテレビ」や「ジャンクSPORTS」のMC・進行役として活躍。2018年にはサッカーのFIFAワールドカップロシア大会で現地取材も行うなど、アナウンサーとして着実に歩み続けている。

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