Advanced K.G.

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Episode.3

グローバル探究ーBASIC参加

高校生の私たちにだって
世界のために、できることがある。

伊藤 日彩・孝山 愛夢・小畑 百世・瀧川 天音(関西学院高等部・1年生)

〈4人が取り組むSDGs課題〉
■1:貧困をなくそう
■2:飢餓をゼロに

関西学院高等部は1年生から希望者を対象に、SDGsに代表される社会的な課題について自ら学ぶ探究授業を設けています。
今日集まってくれた皆さんは、その授業を受講したメンバーですね。まずどんな授業なのかを教えてくれますか。

伊藤 はい、希望した生徒のうち、35人くらいが選抜でこの授業を受けることができます。私はもともとこういう授業が受けたくて関学に入ったので、案内が来たときすぐに受講を決めました。

孝山 スタートは2学期からでした。最初の4回までは、いろいろな立場の外部講師の方からお話を聞いて、社会の問題について考える座学です。そして5回目の授業からは、自分が特に関心を持ったSDGs課題とそれに対してどんなアプローチをしたいかのアイデアを考えて発表するんです。

小畑 みんな注目するところが違っていて、いろんなテーマが出るんですよ。ジェンダーの問題とか、Society5.0の実現についてだとか、外国の貧困の問題だとか。

瀧川 発表の後は、テーマの似ている者同士がグループになって、実際に研究を進めていきます。私たち4人は、食の面から貧困を解決していきたいと考えたグループです。


貧困というと、皆さんにとってあまり身近な問題ではないように思いますが、どうしてそのテーマを選ぼうと思ったんですか。

伊藤 きっかけは尼崎市理事の能島裕介さんという方の授業です。そこで私たちは、貧困ってどこか遠い外国で起こっている問題じゃなくて、日本の、私たちの問題なんだと気付きました。

孝山 明日食べるものがない、住む場所がないというのは「絶対的貧困」というそうですが、こういうケースは日本では非常に少ないと思います。でも、学校外の教育などに十分なお金を使うことのできない「相対的貧困」が日本には多く、その家の子たちが十分な教育を受けられず、良い仕事に就けないため、低所得になってしまい苦労するという貧困の連鎖が起こっているそうです。

小畑 能島さんは、給食のない夏休みに食事を十分に取れずに痩せてしまう子もいると話されました。私はそんな現実があることを全く知らなくて驚いたし、もっと知りたい、自分にできることを何かしたいと思いました。


それで日本の相対的貧困に注目し、食の面から解決する方法を探そうと考えたんですね。
次は実際にどんな行動を起こしましたか。

瀧川 はい、「フードバンク関西」という認定NPO法人の活動に注目して調べることにしました。こちらでは、企業などから寄贈された食品を、支援を必要とする人たちを支える施設や団体に無償で分配する事業をされているんです。この団体について詳しく知れば、日本の相対的貧困を解決していく方法が見つかるだろうと思ったんです。

小畑 先方に取材をさせてくださいと申し込んで、みんなで聞きたい内容をまとめていきました。実際にお話をうかがってみると、私たちの想像とは違う答えがたくさん返ってきて、問題の根深さを知ることになりましたね。

孝山 例えば、国からの支援が十分でないから活動が広がらないんじゃないかという仮説を持っていって尋ねたのですが、フードバンク関西さんではそんなに国の支援を期待していないそうです。理由は、国から支援を受けると、報告しなければならないことが多く、制約が増えるため、逆に支援がしにくくなってしまう側面があるのだそうです。また、存在が知られていないから支援が集まらないんじゃないかという仮説も立てたのですが、お聞きしてみると企業とのネットワークはかなりたくさんお持ちでした。それにもかかわらず、企業側も厳しくてなかなか積極的に支援してもらえないそうです。こういう現実を知ることは、一つひとつが驚きでした。

小畑 ちなみにコストコなどの外資系企業は支援に積極的だそうです。助け合いの精神が文化として浸透しているかどうかというのも大きいのかなと思いました。


皆さんがその調査結果をまとめたレポートをもとに、関西学院高等部の代表として、東京で他校と共にプレゼンテーションを行ったんですよね。

伊藤 はい、12月22日に東京国際フォーラムでの全国高校生フォーラムに参加してきました。周りは高校2年生が多かったですね。私たちはレポートをポスターにまとめてプレゼンテーションを行い、それを審査員に評価していただいて、質疑に答えました。50人くらいの人が私たちの話を聞いてくれたかな。私たちもほかのチームの発表を聞きに行ったりしました。

小畑 周りのレベルが高すぎたので、私たちも10点満点中7点を取れて健闘したなぁと思います。工業高校などはバナナの皮で水の汚れを取る方法などをプレゼンテーションしていて、やっぱり専門的にやっているところは面白いと思いました。

瀧川 問題はそのあとのディスカッションです。集まった全国の高校生たちと社会の課題について語り合うのですが、言語は英語なんですよ。私はシュンとなっちゃいました(笑)。

孝山 私は英語には自信があった方なんですが、なかなかうまく議論できませんでしたね。


他校より時間がない中で進めていて大変だったと思いますが、一通り終えてみて、今はどんな感想を持っていますか。

伊藤 そうなんですよ。私たちは考えはじめるのが遅すぎました。放課後、部活の合間に集まって4人で話し合っただけでなく、休みの日は7時間くらいみんなで粘ってやったけど、ちょっと不十分でしたね。もっと一つのテーマを突き詰めることができれば良かったです。

小畑 でもやっぱり収穫は大きかった。私は英語の討論で悔しい思いをしたのでさらにレベルアップしようと心に誓いました。今回の経験は将来の職業を考えるときにも生かせたらいいなと思います。

孝山 私は自分の考えたアイデアが社会にどれだけ通用するのか試してみたいという気持ちが膨らんできました。今までそんなこと考えもしなかったのに。

瀧川 私もそう。この授業に参加するまでは貧困解決のために自分にできることなんてないと思っていたけど、ボランティアで団体を手伝ったり、SNSを使って活動を広めることはできると気づきました。

伊藤 私たちの活動はまだ終わりじゃないので、この後はもう一度アイデアを練り上げて、「SDGs Quest みらい甲子園」にも申し込もうと思っています。そこでもし良い評価をいただければ、また全国で自分たちの考えを発信していきたいと思います。

■参加プログラムをCHECK!

グローバル探究−BASIC

関西学院高等部は文部科学省が定めるWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業における全国拠点校10校の1校に選ばれています。高等部1年生を対象とする授業「グローバル探究-BASIC」はこの事業の一環としてスタートしたもので、「地球と人類に貢献する平和構築のための学び」を提供する探求型授業です。35人の受講生は、国内外の社会的課題に対して自分なりの答えを出すために、フィールドスタディを行うなどして学びを深めました。