関西学院の取り組み「LGBTって知っていますか。」LGBTとは、誕生時に割り当てられた性別にとらわれない性を生きる人。日本でLGBTを自認する人は5%とも10%とも言われています。誰もが生き生きと学べるキャンパスをめざす、関西学院の取り組みを紹介します。

「性」は、男女だけでは分けられない多様なもの

 社会において人間のセクシャリティは、「女」「男」で分けられていますが、実は男女の2分法だけでは表せない多様なものです。「性」は、「からだの性」「こころの性」「社会的な性」「性的指向」の4次元によって表されます。「からだの性」とは身体的な性、「こころの性」は自分で自分を「女性」と思うか「男性」と思うか、あるいはどちらにも属さないと思うかといった「性自認」、「社会的な性」は、服装や仕草、言葉遣いなどの「女らしさ」「男らしさ」、「性的指向」は、恋愛感情や性欲が主にどの性に向いているのかをさします。

 4つの「性」がすべて「女」側にある場合はレズビアン(女性同性愛者)、「男」側にある場合はゲイ(男性同性愛者)など、4つの「性」をトータルに見ることで、「性」のあり方がひとりひとり違っていることがわかります。

「からだの性」と「こころの性」は必ずしも一致しない

 LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの人々を意味します。レズビアンは、女性の同性愛者、ゲイは男性の同性愛者、バイセクシャルは、女性と男性ふたつのジェンダーに性的魅力を感じる人をさします。

 「からだの性」と「こころの性」は必ずしも一致しません。例えば、身体が女性であっても自らを男性と認識し、男性としてのライフスタイルを築いていきたいという人もいます。こうした「性別」を超えたい人々を「トランスジェンダー」と呼びます。「トランスジェンダー」の中でも、ライフスタイルだけでなく身体的にも自分の性別に合わせて性転換手術を望む「トランスセクシュアル」と呼ばれる人たちもいます。LGBTのほかにもインターセクシュアルを加えたLGBTI、クエスチョニングを加えたLGBTQなど「性のあり方」は多様で、ひとりひとり違うものなのですが、社会では男と女以外の人が受け入れられていないのが現状です。

社会で多く存在する性的マイノリティへの人権侵害

 社会において、性的マイノリティに対する人権侵害は少なくありません。
 同性愛者の場合、「婚姻関係によって得られる多くの優遇措置や権利が得られない」「パートナーシップが制度上認められないため家族関係を前提とする社会慣習から疎外される」などといったことがあります。

 また、トランスジェンダーにおいては「望む治療を受ける機会が十分に保証されない」「法的な性別が変更できず生活実態上の性別と公的書類の性別が食い違う」といったことがあります。

 ほかにも、学生であれば「自認する性と違った性別の制服を着て登校しなくてはいけない」「就職しにくい」、社会人においては「里親になりにくい」「同性パートナーの緊急時に立ち会えない場合がある」「健康保険の扶養者になれない」など、非当事者にとっては当然の権利が与えられていない現状があります。

誰もが「いきやすい」キャンパスに関西学院の取り組み

 関西学院では、性的マイノリティの学生が生き生きと自分らしく学べるよう、さまざまな取り組みを行っています。
 教育活動の一環としては、2003年度に総合コースとして「ヒューマン・セクシャリティー・性の常識を問い直す」という授業科目を開講しました。2009年度からこの科目を「人権教育科目」と位置付け、2010年にその名称を「セクシャリティと人権」に変更し、現在に至っています。

 また、研究活動では「キリスト教主義におけるLGBTの学生に対する人権保障の取り組み調査」(代表者:榎本てる子 神学部准教授)が人権教育研究室の2015年度の公募研究に採択されました。

ランチ会やレインボーウィーク理解を深めるイベントも開催

 また、性的マイノリティの学生たちが自分らしく振る舞える居場所の提供として、当事者と非当事者が週に1回一緒にランチを食べながら同じ時間を過ごす「ランチ会」を開催しています。

 2013年からは啓蒙活動として「関学レインボーウィーク」を開催。期間中はレインボーフラッグを西宮上ケ原キャンパスの正門と神戸三田キャンパスのアカデミックコモンズに掲げ、トークセッションやパネル展などを通して学生たちがLGBTへの理解を深めるきっかけづくりを行なっています。

 2015年度には、新しい取り組みとして、キャンパス内の性的マイノリティの現状把握を目的に、関西学院大学の在学生、大学院生、教職員、卒業生を対象にWEB調査を行いました。

イベントを通して課題を見出し、キャンパスを改善

 WEB調査の有効回答数は、性的マイノリティの当事者58名、非当事者は53名の計111名にのぼりました。アンケートの結果からは、キャンパスにおける性的マイノリティの現状やニーズを知ることができました。例えば、「学生から、性別、性的指向、性自認を嘲笑されるような言動を自身が体験したり、見聞きしたことはありますか」という問いに対し、当事者の62.1%が「よくある」「たまにある」と回答したのに対して、非当事者は26.4%のみでした。関西学院内での当事者のカミングアウトについては、誰にもカミングアウトしていない人が48%と半数近くを占めていることから、非当事者による普段の何気ない一言が知らない間に当事者を傷つけていることがわかります。

 今後の課題は、これらの結果を踏まえて当事者と非当事者の意識の違いをなくしていくことはもちろん、成績評価の性別欄、体育館の更衣室、トイレの表示や設置、就職支援など、関西学院として性的マイノリティの学生に配慮した環境を整えていく必要があると考えています。

人はみんな違って当然自分らしく生きていきたい。

本谷 朱音理工学部2年生

性的マイノリティであることも「自分らしさ」のひとつ

 私は、中学生ぐらいのころから自分が性的マイノリティであることは自認していました。でも私にとってはそれが普通のことでしたし、通っていた中高一貫の女子校でも自然と受け入れられていたので、特に隠したりする必要もなく今まで来ています。家族とは自分のセクシャリティについてきちんと話したことはありませんが、家族も私のセクシャリティについては知っていると思います。
 大学ではカシスというLGBTのサークルに入り、同じ立場の友達もたくさんできました。環境に恵まれてきたこともあり、自分らしく生きることができていると思います。

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「みんな違って当たり前」という意識を持って

 LGBTとひとことで言っても、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、それぞれの立場によって状況はまったく違います。例えば、レズビアン、ゲイ、バイセクシャルは普段の生活で困ることは少ないですが、トランスジェンダーの人は外見と内面の性別が違うので更衣室やトイレなど、男女で分けられる場面では精神的な苦痛が伴います。

 「性的マイノリティの人はカミングアウトできずに悩んでいる」と思われがちですが、それも人それぞれです。隠したまま生きることがストレスになる人もいれば、言わずに生きていたい人もいます。考えてみるとLGBTでなくてもバックグラウンドはひとりひとり違うので当たり前ですね。LGBTだからと一括りにするのではなく、同じ人間として「みんなそれぞれ違うのは当たり前」という意識を持ってほしいと思います。

男女で分けられない10%のLGBTを理解してほしい

 世の中は、男女で分けられないLGBTの人は10%いるといわれています。自分の子どもがセクシャルマイノリティである可能性も低くはありません。子どもがセクシャルマイノリティである場合、親に打ち明けられる人は少ないかもしれません。私の場合もカミングアウトはしていませんが、中学生のとき母が「もし女の子が好きだったとしてもそれでいいのよ」と言ってくれ、そのとき「隠さなくてもいいんだ」と安心しました。

 保護者の方には「自分の子どももそうかも?」という可能性を持っていてほしいと思います。テレビに出てきたゲイの人を批判したその一言が、実はわが子を深く傷つけているかもしれないのです。理解は難しいと思うけれど、非難しないでほしい、それが当事者の切実な想いです。

レインボーウィークやランチ会で自分の居場所を見つけよう

 世界的に見ても日本でのLGBTの理解は遅れています。最近、渋谷区や宝塚市で施行されましたが、パートナーシップ条例といった制度が全国に広がればと思います。関西学院では、人権教育研究室等が主催で週に1回「ランチ会」をおこなっています。当事者、非当事者関係なく一緒にお昼ご飯を食べながら楽しく話す時間なのですが、このような日常の小さな活動を通して、お互いの意識のズレがなくなればと思います。

 ランチ会に訪れる人は、友人が性的マイノリティで少しでも理解したいと考える人や、自分も性的マイノリティかもしれないと思いながらも自認していない人もいます。レインボーウィークやランチ会のような気軽な交流会で当事者と話すことで理解が深まればと思います。

レインボーウィーク 開催スケジュール

レインボーウィークの目的

  • 多様なセクシャリティの尊重は他人事ではなく、キャンパス内の課題、身近な課題、自分自身の課題であると気づいてもらう
  • キャンパス内に多様性を尊重する風土を根づかせる。
  • キャンパス内の性的マイノリティの学生たちがお互いに繋がれる機会を提供する
  • こうした取り組みを通して、誰もが「いきやすい」キャンパスへと改善できるように関係部署に働きかける
1. オープニングイベント
西宮上ケ原キャンパス 5月15日(月) 昼休み 場所:中央芝生(雨天時中央講堂)
2. 人権問題講演会
講師:川西 寿美子 氏
(大阪私立学校人権教育研究会指導員(主にジェンダー教育・相談)、特定非営利活動法人アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク理事、大阪府男女共同参画推進連絡会議会員)
5月18日(木) 2・4限(西宮上ケ原キャンパスと神戸三田キャンパス、どの時限にどのキャンパスで行うかは調整中)
3. 映画上映会 〜映画を通じて多様な性を学ぶ〜
西宮上ケ原キャンパス 場所:大学図書館地下1階ホール
5月15日(月) 16:50〜
5月16日(火) 16:50〜
5月17日(水) 15:10〜
いずれも申し込み不要、参加費無料(上映作品については、現在選定中です。)
4. 多様な性を祝う集い
西宮上ケ原キャンパス 5月19日(金) 18:30〜20:00(予定) 場所:ランバス記念礼拝堂
学内はもちろん、学外からもゲストをお招きして、歌、語りなどを通した祝いの会を開催いたします。学外の方も含め、どなたでも自由にご参加いただけます。
5. パネル展
教職員からのメッセージ、いのちリスペクト、過去のWEB調査の結果概要などを展示します。
西宮上ケ原キャンパス 5月15日(月)〜19日(金) 場所:大学図書館1階エントランスホール
西宮聖和キャンパス  5月15日(月)〜19日(金) 場所:山川記念館2階香月恒子記念ギャラリー
神戸三田キャンパス  5月22日(月)〜26日(金) 場所:Ⅱ号館1階、Ⅳ号館4階401号教室前、Ⅵ号館2階、アカデミックコモンズ1階インフォメーションホール
6. LGBT関係図書のコーナー展示
場所:大学図書館1階ミニ特集コーナー 期 間:5月8日(月)〜26日(金)
7. WEB調査
関学レインボーウィークの在り方についてアンケート調査を実施します。
8. ぶっちゃけトークセッション&交流会
5月18日(木)18:30〜20:30
参加ご希望の方は以下の連絡先にご連絡ください。
場所は個別にお伝えします。

Mail: kg.rainbowweek@gmail.com
Twitter: @kg_rainbowweek

(すべて2017年3月3日時点)