スポーツのチカラで社会問題を解決する

人間福祉学部社会起業学科  林 直也 准教授

「関西学院の学び」は、関西学院が自校教育の一環として「関西学院」をテーマに、オムニバス形式でさまざまな教授が教鞭をとる講義を保護者の皆さまにお届けしています。

スポーツのチカラで社会問題を解決する

地域社会の抱える課題解決にスポーツはどこまで貢献できるのか。
人間福祉学部・社会起業学科の林直也先生に聞きました。

さまざまな可能性を秘めた「スポーツのチカラ」

 「スポーツのチカラ」と聞いて、どのようなことを想像しますか。スポーツの効果は健康促進だけではありません。例えば、被災地にスポーツ選手が赴いてスポーツを通して被災者の方々に勇気と元気を与えるなど、スポーツの持つ可能性は人の感情やモチベーション、コミュニティや社会にも大きな影響を与えます。私のゼミの研究は、「スポーツのチカラを追求する研究」とも言えるでしょう。
 私自身、大学時代は関西学院大学で経済学を学び、陸上競技部に所属してスポーツに親しんでいました。「スポーツと経営の接点」に興味を持ち、卒業後は大阪体育大学の大学院に進み、スポーツ経営学を専攻、スポーツマネジメントを学びました。日本におけるスポーツ系の学問といえばバイオメカニクスやコーチングが主流でしたので、スポーツマーケティングは比較的新しい学問と言えます。関西学院大学には2005年に着任、2008年には人間福祉学部がスタートし、スポーツに興味を持つゼミの学生とともに、スポーツ経営学の研究を行なっています。

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社会起業学科でスポーツマネジメントを学ぶ

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「スポーツ経営学」や「スポーツマネジメント」といった学問は、スポーツクラブ経営など「スポーツビジネス」についての研究と捉えられることも多いのですが、ゼミでは「社会起業学科で学ぶスポーツマネジメント」として「スポーツを使って社会問題や身近な問題を解決する」ことを大きなテーマとしています。
 例えば、「学内で留学生と非留学生の交流の機会をもっと増やしたい」という課題解決のためにスポーツはどのように貢献できるのか。スポーツには共通のルールがあり、言葉や宗教、文化を超えて楽しめます。ゼミではスポーツをコミュニケーションツールとして活用するためのイベントを考え、アイデアを現場に応用することで実践的な学びを展開しています。

現場への応用の学問考えたことを実践してみよう

 マネジメントやマーケティングは、「現場への応用の学問」です。ゼミは全員が参加するワークショップ形式で行なうほか、アンケート調査など現場での活動を重視しています。
 地域社会における人々の信頼関係やつながりの強さを測定する尺度として「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」という概念がありますが、先日は、プロ野球独立リーグ兵庫ブルーサンダースの試合を訪れ、「兵庫ブルーサンダースを好きな人ほど地域住民同士のつながりも強いのか」を調べるために観客にアンケート調査をしました。このような相関関係が証明されれば、地域密着型のスポーツチームが地域住民のつながりを高めるツールとなりうる可能性を示すことができます。現在、相関関係・因果関係を明らかにするべく研究を進めています。

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「目的をどう達成するか」を考える力をつけてほしい

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 ソーシャルキャピタルが高い地域は地域活動が活発で、結果的に犯罪率が低くなり、出生率が高まる傾向にあります。地域密着型スポーツチームは地元愛の向上だけでなく地域活性にも貢献できると考えています。私たちの研究は、「スポーツのチカラの可能性」を考え社会に活かすというものです。実践的な学びを通して「目的を達成する力」を身につけてほしいです。

林 直也 准教授

はやし なおや/人間福祉学部社会起業学科 准教授。関西学院大学経済学部卒業後、大阪体育大学大学院にてスポーツ経営学を専攻。2011年より現職。陸上競技部では、短距離コーチを担当している。

SPECIAL TALK 林ゼミ生対談

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  • 小林 葉月

    こばやし はづき/小学校からダンス、中学校で剣道、高校でサッカーのマネージャーを経験するなど幼少からスポーツに親しむ。

  • 池田 瞳

    いけだ ひとみ/関西学院千里国際中・高等部出身。言葉を超えた「コミュニケーションツール」としてのスポーツに興味を持つ。

  • 濱谷 快

    はまたに かい/関西学院高等部出身。大学では、トレッキングやフットサル、ランニングなどさまざまなスポーツを楽しむ。

  • 私は中学・高校とサッカー部でした。スポーツが好きで「大学では好きなことで学びを深めたい」と考え、高等部3年生のときにはすでに林ゼミに入ろうと決めていました。
  • 私は千里国際中・高等部に通っていたのですが、部活動がシーズン制でいろんなスポーツを経験する機会がありました。中等部のころ、あまり英語が話せないときにスポーツを通して外国人の友達ができた経験があり、林ゼミの「スポーツを手段にどう社会貢献していくか」というテーマに興味を持ちました。
  • 私も小さいころからスポーツをしていて、今もサッカーの社会人チームでマネージャーをしたり、スポーツ用品店でアルバイトをしたりしています。もともとスポーツが好きなので、スポーツをテーマに大学で学べることに興味を持ちました。
  • 林ゼミでは、アンケート調査などで現場に出る機会が多いですね。以前、関西学院大学のアメリカンフットボールの観戦者調査を行なったのですが、作成したアンケート結果をもとに「どうすれば観戦者を増やせるか」「どんなグッズを開発すれば売れるか」というスポーツビジネスの視点だけでなく、「スポーツ観戦は関西学院への帰属意識につながるのか」といった視点からも分析調査することができました。
  • ほかにも兵庫ブルーサンダースの観戦者調査では、アンケートの分析結果を今後の地域への宣伝活動に役立ててもらうために活用の提案をさせていただきました。
  • 自分たちの研究が実際に社会の役に立てるのは嬉しいですね。
  • ゼミではスポーツイベントの企画やアンケート調査などの実践的な活動を通して、「目的意識」をしっかり持って動くことの大切さを行動で学ぶことができました。就職は広告関係の企業に決まっていますが、人生においても仕事においてもゴールをしっかり決めて将来設計をしていきたいです。私は去年の7月から9月までオーストラリアの乗馬クラブのインターンシップに行き、「乗馬を通した障がい者の社会参加の支援活動」を経験してきました。これから卒業論文に取り組みますが、ゼミやそれ以外の活動を通して学んできたことを活かし、スポーツがどのように社会に貢献できるのか、実際に行われている取り組みについて研究したいと思います。
  • 私の場合は、ゼミの学びを通して「スポーツが人と人とのつながりの手段」となり、見知らぬ人同士でもコミュニティが作れることが発見できたのが大きいです。就職は金融に決まっており、社会人としてどこで暮らすことになるかはわかりませんが、「スポーツのチカラ」を知っている者として、地域のスポーツイベントなどに積極的に参加することで、どこに行っても社会の一員として生きていけると思います。
  • ゼミでは座学だけでなく調査活動など、活動を通していろんなことを学ぶことができました。就職は一般企業に決まっていますが、地域密着型企業で地域貢献に対する意識の高い会社です。ゼミの活動と近い取り組みをしている企業とご縁があったので、大学で学んだことを大切にしながら社会人として活躍していきたいです。

PROFESSOR TOPICS

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陸上競技部で、短距離コーチを担当
多田修平選手も指導

 陸上競技部では短距離コーチを担当。指導は「学生の自主性を重んじ、サポートする」スタイル。日本学生陸上競技個人選手権大会男子100mで国内レースでは日本選手として初の9秒台(追い風参考)を出し、2017年世界陸上競技選手権大会の日本代表に選出された多田修平選手の成長の要因は、「筋力を上げて歩幅をのばした」ことと、地域の記録会でも常に全力で走ることで鍛えた「どんな環境下でもベストの実力が出せる強さ」だそう。同大会 男子4×100mリレーでは見事銅メダルを獲得。