知的活動を活性化・支援するVR研究

理工学部 人間システム工学科 井村研究室 /バーチャルリアリティ学

「関西学院の学び」は、関西学院が自校教育の一環として「関西学院」をテーマに、オムニバス形式でさまざまな教授が教鞭をとる講義を保護者の皆さまにお届けしています。

知的活動を活性化・支援するVR研究

昨年は「VR元年」ともいわれゲームなどでも話題のバーチャルリアリティ。
今、注目されるVR研究を行っている井村研究室を訪ねました。

人の「何となく」の感覚を‘数値化’して再現

 バーチャルリアリティ(VR)と聞くと、ゲームなど非現実的な世界をイメージする人が多いかもしれません。バーチャルリアリティはしばしば「仮想現実」と訳されるので「現実ではない仮想の世界」と捉えられることも多いのですが、バーチャルは「実質の」、リアリティは「現実」なので、本来は「本質現実」という意味。実は「仮想」とは真逆の世界にあるのです。
 バーチャルリアリティとは、「実世界のモノやコトの本質的な部分を解明して、実際には目の前に存在しなくとも、実質的に再現する技術」で、実際にはとても現実的な技術といえるでしょう。

 バーチャルリアリティは最先端技術であると同時に、「人の感覚」と密に関係している身近な技術でもあるのが特徴で、「人とコンピューターをつなぐ学問」ともいわれています。
 物事のリアリティを追求するバーチャルリアリティの技術や研究には、まず実世界の人間や環境を計測することが必要です。人間の行動や感覚を計測して定量化し、数字情報に基づいてシミュレーションして、人間の視覚や聴覚、触覚にフィードバックする。それをリアルタイムで行うことで現実のように感じるというわけです。

これまでの体験を「拡張」未知なる体験が可能に

 例えば、ものを触ったときには「感触」がありますが、それを再現するために、それぞれの素材を触ったときの指の変形を数値化することで主観的な感覚を客観的に解明します。それをシミュレーションすることで、同じようにプラスチックを触っても「革のようなヌメッとした感じ」や「砂のようなザラザラした感じ」が再現できます。
 実世界で生きていると体験に限界がありますが、バーチャルリアリティの技術を応用すればどんなことでも危険を伴うことなく体験できるようになります。つまり、通常の体験を「拡張する」ことができるのです。

 バーチャルリアリティ技術は、医学生向けの手術のシミュレーターやスポーツの技術習得支援、教育支援などにも使われており、「世の中の役に立つ」研究として注目されています。
 バーチャルリアリティはまだまだ発展の余地がある学問で、人の成長や世の中の成熟にとって大いに助けとなる「支援」の可能性が秘められている技術です。井村研究室から、新たな活用の可能性が生まれるかもしれません。

バーチャルリアリティ学研究室
こんな研究をしています。

学生がしたいことを研究するのが井村研究室!

VR研究は、人間の心や五感などの「アナログ」な感覚が大切です。
そのため、井村研究室の学生たちは、自分の生活や体験をヒントに自由な発想で研究に取り組んでいます。
その一部を紹介しましょう。

  • 研究テーマ:集中力向上のための他者の存在感提示システム

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    カフェで勉強が捗るのはなぜ?と言う疑問から「他人の存在感で集中力が高まる」と仮定し、集中力を上げるシステムを開発。集中力が途切れたらスピーカーから足音が流れるなど、人の気配を感じる仕組みです。効果はまだ検証中。

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    集中力低下のタイミングで「人の存在感」を演出集中力を維持するシステム

    石川 諒

  • 研究テーマ:視線の動きに基づく英語多読支援

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    英語学習の基本であるリーディングに焦点を当てた多読支援システムです。英文を読んでいるときの視点の動きを計測することで、視線を誘導することや、分からない単語を自動的に検出することができます。

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    読むだけで、分からない単語を自動検出効率的な学習を支援

    林田 賢二

  • 研究テーマ:接触部の特性変化による多様な筆記感提示

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    文房具が好きなので「ペンの書き味」に注目しました。ボールペンやクレヨンなどの筆記具で字を書いたときの振動を解析し、筆記感を再現します。クレジットカード端末のタッチペンなどで実用化されるとおもしろいですね。

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    人の「触覚」に注目。VR技術を使って文房具の書き味を再現!

    大菅 誠弥

  • 研究テーマ:路面状況を再現する足への触覚提示

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    砂やコンクリートなどの路面を歩いているときの足裏への踏みつけ感覚を再現しています。アトラクションやゲームなどで、見える景色や聞こえる音に歩く感覚を加えることで、よりリアルな世界が追求できると思います。

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    道を歩く足裏感覚を再現!リアリティを追求してアトラクションを楽しく!

    高田 大樹

  • 研究テーマ:英語学習のための臨場感提示システム

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    「日本にいながら英語を効果的に勉強するには」と、リアルな英会話を体感できる学習システムを開発しました。3D立体音響を使ってその場にいるような臨場感を再現。英会話の勉強を補う教材として役立てたいです。

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    まるで留学しているような世界を再現して英会話を効率的に学習!

    大城 澄香

  • 研究テーマ:VR技術を用いたフライ捕球訓練システム

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    最新の技術と好きな野球を組み合わせ、HMDを使った野球訓練システムを開発。フライの捕球訓練など、主に守備練習用として活用できます。室内練習で活用して練習のパフォーマンスを向上させてほしいです。

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    野球好きが高じて練習用VRシステムを開発しました!

    津田 直彦

  • 研究テーマ:360度どこからでも見える、空中映像システム

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    空中映像に憧れてAIプレートを使って空中に映像を映すシステムを開発。カメラで人の位置を計測することで360度どこからでも見られます。エンタテインメントや医療の分野で応用できるので、さらに追究したいです。

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    まるでSF映画のよう。空中に浮かぶ映像を自分の手で作る!

    藤原 徹平

  • 研究テーマ:足底圧分布を用いたダンス技術の上達支援

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    私はダンスをしています。初心者と上級者の重心移動の違いを定量化して練習支援システムを開発。体の感覚だけに頼るのではなく、数値という目に見える情報を使って練習がより効率的にできるようになればと思います。

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    重心移動の違いを定量化。ダンス練習支援システムでパフォーマンスを向上!

    佐藤 正隆