ネット社会でこそ育てたい、真の社交性

社会学部 鈴木 謙介准教授

 「関西学院の学び」は、関西学院が自校教育の一環として「関西学院」をテーマに、オムニバス形式でさまざまな教授が教鞭をとる講義を保護者の皆さまにお届けしています。

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社会学部

鈴木 謙介 准教授

すずき けんすけ/1976年福岡県生まれ。関西学院大学社会学部准教授。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター客員研究員。専門は理論社会学。著書に「ウェブ社会のゆくえ〈多孔化〉した現実のなかで(NHKブックス)」等多数。

リアルなコミュニケーションが人を成長させる。

スマホでいつも「つながれる」時代。
ネット社会に育つ子どもたちとどう向き合っていけばいいのでしょうか。
社会学部の鈴木謙介先生に聞きました。

SNSでつながるほど社交が学びにくく

 子どもとのコミュニケーションに「グループライン」を使っている家庭は多いと思います。「ご飯は何にする?」「今日は何時に帰る?」など、親子のコミュニケーションがより手軽になり、仲のよい家族関係をどこへでも持ち歩ける時代になりました。家族関係だけではありません。今の子どもたちは、学校や部活動などの仲よしグループと四六時中「つながっていられる」環境で暮らしています。

SNSでの「つながり」は、家族や友人同士のコミュニケーション不足を解消するという点では喜ばしいことですが、問題もあります。「親密な人間関係」を常時持ち歩くことが、子どもたちの「社交を学ぶ機会」を奪うことになっているのです。「社交」とは「親密な人がいない環境で知らない人とつきあう」こと。初対面の人といい関係性を築くにはどんな作法や礼儀が必要なのか。これらは本来、学生時代に知らない人間関係に飛び込んで身をもって学ぶべきものです。この貴重な機会が、SNSで家族や友人とつながればつながるほど、奪われてしまっているのです。

社交を学ぶ機会を意識して増やそう

 誰が見ているかわからないネットの社会もまた、大きな社交の世界と言えますが、「ツイッターで炎上」といったことも社交性が身についていないことが原因と言えるでしょう。
 このような時代、私たち大人はこれまで以上に「子どもたちの社交性を育てる」ことを意識することが大切です。子どもに送ったラインのメッセージが「既読」にならなくても「既読スルー」されても言及せず、子どもの目の前にある現実の世界を優先させてあげましょう。

 そして、保護者の方がキャンパスに来られたときには、同じ関西学院ファミリーとして「失敗が許される社交の学び相手」となってください。知らない大人と話す機会をたくさん持つことは、子どもたちにとって社交を学ぶ貴重な機会となるはずです。学校と保護者がともに子どもたちの社交性を育んでいけるといいですね。

スマホに依存しない人間関係が大切に

 保護者のみなさんから「スマホ依存」について聞かれることがありますが、実は「スマホ依存」は友人がいない子がバーチャルな世界に依存するというものではありません。むしろ友人が多い子が陥りがちです。現代の子どもたちは、ラインをやり取りすることが「親密さ」をアピールする機会になっています。知り合ったらその場でラインを交換してその中から「友だち」になる人を絞り込んでいく。ひとりひとり友だちを増やした私たちの時代とは逆ですね。そのため、すぐに返信をしないと仲よくなる機会を逃しているような気持ちになってしまうのです。「スマホ依存」は、「孤独不安」ではなく「孤立不安」によるもの。「リア充」や「ボッチ」といった言葉も流行していますが、「孤独より孤立」を恐れる現代の子どもたちの心情の表れではないでしょうか。

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コミュニケーションについて家族みんなで考えよう

 現代の子どもにとってスマホは命綱のようなものです。「スマホばっかり見ているから」と、それを取り上げるのではなく「孤立不安」にならない方法を一緒に考えてあげてください。

「スマホがなくてもいい人間関係を作るにはどうしたらいいか」を家族みんなで話し合う機会を持ちましょう。「社交」や「コミュニケーション」の大切さについて議論するきっかけになればと思います。

スマホの使い方を通して「社交」を学ぼう!

親子でスマホの使い方について考える時間を持ちましょう。下記のようなことを参考に、一緒にルールを作るのもいいですね。

01
「目の前の人」を最優先しよう

人と話しているときにラインが入ったら「見てもいい?」と確認を。デート中にスマホをテーブルに出すのは失礼。

02
SNSは、「社交の場」だと意識しよう

「知らない人も見ている」という意識を常に持つこと。公私のやりとりのけじめをつけることが大切。

03
対面でのコミュニケーションをより充実させよう

人とのリアルなコミュニケーションを大切に。知らない人と関係性を築くための社交性を磨こう。